「ここが僕の家だよ。」
クリストフに連れられてステファニーがやって来たのは、卵色の上品なルネッサンス様式の邸宅だった。
「クリストフ様、お帰りなさいませ。」
クリストフとステファニーが玄関ホールにはいると、メイド達がクリストフを迎えた。
「ただいま。おばあ様は?」
「大奥様なら、書斎にいらっしゃいます。」
「わかった。行こう、ステファニー。」
そう言ってクリストフはステファニーの手を掴み、螺旋階段を上がった。
階段から向かって左側に、書斎はあった。
「おばあさま、入りますよ。」
「お入りなさい。」
奥から優しそうな女性の声がした。
ドアを開けると、そこには天井までの高さがある本棚と、たくさんの本があった。
本棚の側に置かれている椅子に、糊のきいた白いブラウスに、コバルトブルーのロングスカートをまとった白髪の女性が座っていた。
「おばあさま、ただいま戻りました。」
「お帰りなさい、クリストフ。 その方は?」
女性は椅子から立ち上がり、ステファニーを見た。
「この人はさっき道でバッグをすられて、僕が助けたんだ。なんでも、人を捜してるんだって。」
「そう・・あなた、お名前は?」
「ステファニー。ステファニー=セルフォードと申します。」
ステファニーはそう言って女性に頭を下げた。
「顔を見せなさい。」
ステファニーが顔を上げると、女性はハッとしたような表情をした。
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