手賀沼沿岸のチュウサギの動向
稲刈りをしている田んぼにチュウサギが群れでコンバインと共に移動する姿を見かけます。稲の茂みから逃げ場を失ったカエルやイナゴを採食しています。益子(2014)がチュウサギの生態や分布などの知見を整理し報告しています。その中で、「1960~70年代に全国的に減少し、準絶滅危惧種に指定されている。1980年の全国規模のアンケート調査では,37県79コロニーのサギ類の総数約47,800羽のうち、チュウサギは約1,300羽(3%)にとどまっていた」と記している一方「1991~92年の全国調査では,コロニーに占めるチュウサギの割合は,関西で0.4%,静岡で3.1%だった一方,関東では12.9% と比較的高かった」と報告しています。ホームグランド手賀沼とその沿岸地域での観察記録を振り返ると、1975年から2008年の間では繁殖期に水田で採餌する10羽未満の姿が観察されていたのみでした。ところが、2019年10月に手賀川中州に塒をとっている30羽ほどの群れが観察されたり、2020年7月には葦原を刈り取った箇所で採餌をしている姿、2020年8月には130羽前後、2020年9月に400羽前後の群れで塒をとっている光景が観察されています。翌年2021年9月にも300羽前後、2022年9月には700羽前後が群れで塒をとっている光景が観察されています。益子(2014)が述べているように、10月中旬頃まで各地で集団ねぐらをとり、数十から百羽ほどの群れで南へ渡ることが知られています。どこから手賀沼とその沿岸地域に飛来し、どこへ向かうのか興味のあるところです。(引用)益子美由希.2014.チュウサギ 「準絶滅危惧種」の歴史といま.Bird Research News Vol.11 No.3.p4-5.(写真)2024年9月7日手賀沼沿岸