カテゴリ:虫歯予防一口メモ
虫歯の原因は虫歯菌が出す酸で歯が溶けることなんだよ。。
と歯医者も含めて皆さん思ってらっしゃるようですが、 違います。 虫歯は金属腐食と同じで、 歯から電子が奪われ、イオンとなって溶出する 電気化学的な現象です。 そう考えないと理解できないことが多過ぎるのです。 もし虫歯が金属腐食と同じなら、 今までの歯科医療の常識はひっくり返ります。 虫歯の原因も解らずに、対症療法をくりかえしても 虚しいではないですか。。 そう考えながら、金属腐食の画像を探していると、あります。 これ、虫歯じゃない?としか見えないものが、ぞろぞろ。。 先ずはこれ、 配管の溶接部分のMIC(Microbiologically Influenced Corrosion:微生物腐食)、 上が配管の内部、下が外側、溶接部はちょっと白っぽい三角の部分。 溶接部と本体の接合部から腐食が進行し、 接合部にそって腐食が進行するが、 腐食するのは溶接部だけで、本体はやられない。 溶接部分は本体とは金属の組成が異なり、 本体よりは物性が劣る、 電気化学的には電解液中の自然電位がより低い。 この部分が、 本体との接合部にそって腐食する。 下図右側が、虫歯の縦断切片標本、 咬合面にある溝から腐食(虫歯)が進行し、 表層のエナメル質が腐食し、 腐食が象牙質に達すると、 物性の劣る(電気化学的に自然電位が低い)象牙質だけが、 エナメル質と象牙質の接合部(デント・エナメル・ジャンクション:DEJ)にそって 腐食する。 よく似ていると思いませんか? 次はこれ、 萌(は)えたばかりの歯牙の縦断切片標本、 咬合面には深い溝や穴というか隙間があります。 これは発生途中の歯の形成過程で生じるもので、 誰にでもあります、 でも萌出後しばらくすると再石灰化と同じ現象で埋まります。 その埋まるまでの間に虫歯になるのですが、 以下の隙間腐食の図を見ると、いかにも萌出直後の歯の溝は虫歯になり易そうに見えます。 隙間腐食は隙間の外部と内部では酸素濃度勾配があり、 それによる濃淡電池の形成による腐食です。 これに細菌が付着すると、 細菌の呼吸によりさらに酸素の濃度勾配が大きくなるので 腐食は加速します。 これは歯根面う蝕、 歯周病で本来歯肉縁下に埋もれているはずのDEJが 電解液中(口腔内)に露出してしまったために起こる虫歯。 異種金属接触腐食に似ています。 異種金属接触腐食は自然電位の低い方が電子を奪われ腐食することですが、 歯もエナメル質と象牙質という異種金属が接触する構造をしています。 こう考えると、 従来からの考え方、 脱灰<再石灰化の状態をキープする、 というのは正しいのですが、 人工の修復材料で歯冠修復しても 隙間が生じないという保証は全くありませんので、 再石灰化により自己修復能力のあるエナメル質を削り、 人工材料で修復するなど愚かさの極みです。 歯科用の金属が安定ということは歯の方が溶けているということ、 金属が錆びるということは歯はもっと錆びているかも、ということ、 金属は錆びるのでセラミックにするべき?、でも隙間は生じます。 修復物は接着剤で歯に接着していますが、 接着ハガレは遅かれ早かれ必ず起こるのです。 そんなことよりも虫歯予防は非常に簡単なので、 予防に徹するべきなのです。 虫歯の予防は萌出後のエナメル質の結晶構造が安定化するまでの1~2年間だけに集中すれば、 その後は虫歯になりませんので、楽です。 シーラントなどエナメル質の再結晶化を遅らせるだけですので、愚の骨頂です。 具体的な虫歯予防の方法は ここの「虫歯予防一口メモ」や「バイオフィルム」を読んでください。 キーワードは「重曹洗口」です。 つづく。 参考文献:1、金属の相性で腐食 異種金属接触腐食 2、金属の腐食と摩擦磨耗 3、亜鉛による防食 4、腐食事例集 5、口腔病理カラーアトラス 石川梧朗編 医歯薬出版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/06/03 08:40:02 PM
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