60代女性、左上4、歯冠破折、自発痛ー
元々若い頃から歯ぎしりがひどかったということで、この歯にも長年の咬合性外傷によるクラックがあったのだろう。
野菜を食べていたら突然割れた。
しかし幸い露髄(神経が露出している)しなかったようだ。このまま歯冠再建することにした、歯肉縁下3mmはあるので、再建に邪魔になる歯肉は麻酔下で電気メスで切除した。
後は普通に3MI◯+α-TCPセメントで覆ってCRで歯冠再建した。その後は再破折を防ぐために補強冠を作った。しかし今回割れた横方向だけではなく、縦方向にもクラックがあるので、将来的には縦方向にも破折する可能性は十分にある。
では時系列でどうぞ
パクパクしている
破折片を除去したところ
電気メスで歯肉を除去して再建するためのマージンを明確にする。
破折して1ヶ月以上経つので、次亜塩素酸で綺麗にした後もディンプルを付与しながら歯質の新鮮面を確保する。
3MI◯+α-TCPセメント
1次CR
多重積層法を用いる
多重積層法で歯冠再建
補強冠を入れる。これがないと長期の維持はできない。
なぜ、4/5冠も若くはフルクラウンにしないのか?という疑問を持つと思う歯科医師諸君もいるかと思うのだが、どうだろうか?何度も補強冠が壊れるとしたら、この方がそのような食生活を送っているかということも分かるし、今後どうなっていくかという方向性も分かるというものだ。そうなればそれなりの対策も打てるというものだ。いきなりフルクラウンにしてしまうと、次回は抜歯になってしまうかもしれない。