円高・貿易摩擦に警戒感 3月短観、景気回復足踏みも 【日本経済新聞】
2018.4.2 日本経済新聞 円高や米国の貿易保護主義が企業経営のリスクとして意識され始めた。 日銀が2日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感が8四半期ぶりに悪化したほか、先行きにはより慎重な姿勢が表れた。 実際の需要は国内外で好調を保つが、その持続性に懸念が出ている。 円高や米中摩擦が強まれば、5年超に及ぶ景気回復が足踏みする可能性もある。 短観は全国約1万社へのアンケート調査で、中小企業も含め調査対象が幅広い。 速報性が高く、経済指標のなかでも景気の変調をいち早く示すこともある。 3月の大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス24と3カ月前より2ポイント悪化した。 悪化は中国景気への不安などから円高・株安基調だった16年3月以来だ。 さらに先行きのDIは現状の判断より4ポイントの悪化が見込まれている。 自動車や非鉄金属が特に慎重になっている。 背景には、米国が保護主義の姿勢を強めていることと、それに伴う円高がある。 3月の円相場は1ドル=105~106円程度と、3カ月前より7円近くも円高に振れた。 円高で採算悪化が懸念されるうえ、回復を続けてきた世界貿易にも不安の芽が出てきた。 輸出企業にとっては採算、数量の両面で収益が圧迫される恐れがある。 日本経済の景気循環は輸出が起点となることが多い。 過去5年の景気回復も輸出企業の収益回復が国内の生産や従業員の賃金を通じて広がってきた面が大きい。 円高や米中摩擦の深刻化を機に輸出が鈍れば、内需にも響いてくる。 日本の景気回復は戦後2番目の長さに達しており、景気循環的にも頭打ち感が強まるおそれもある。 もっとも、足元の事業環境は好調を維持している。 世界同時好況の恩恵で海外向け製品の需給の引き締まり具合を示す需給判断DIはプラス4と8四半期連続で改善した。 約10年ぶりの強さだ。 国内製商品サービスの需給DIも0と、1990年以来、28年ぶりにマイナスを脱した。 実体経済の活動は国内外で回復を続けている。 あくまで米中摩擦や円高進行といった不確実性が経営者の心理にのしかかっているのが現状だ。 こうした不安が次第に晴れれば、景気回復は持続性を保ちやすい状況でもある。(引用ここまで) 日銀短観は、ここで初めて触れますが、若干これまでの勢いに陰りが出てきたという話です。 ※青線が「大企業製造業」赤線が「大企業非製造業」です。 グレーの塗りつぶし箇所が景気後退局面とのことです。 (引用元:日本銀行時系列統計データ検索サイト) 2013年以降は、持続的にプラスを維持しています。 さすがにバブル期には及びませんが、20前後を継続できているのは2000年代半ばのリーマンショック前以来です。 グラフを見る限り、DIが20前後を維持できれば文句ない状況だと思います。