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カテゴリ:日本語
トライアリストの課題を訳していて、
どきっとする単語をみつけました。 それは「incurable cancer」です。 気になったのは「incurable cancer」という 表現そのものではありません。 どのように表現するのかは筆者の自由ですから。 わたしが気になったのは、辞書を引いてみたところ 「incurable」の訳語が「直らない」「矯正できない」 「不治の病人」のようなものしかなかったこと。 この辞書どおりに訳せば、病気についての記述のとき、 「incurable」は「不治の」としか訳せなくなってしまいます。 「incurable」は学術文献や専門書だけに使用される 単語ではないと思います。 一般の文献にこの単語が使われていて、その訳書に 「不治の」と書かれていたら。 「incurable」と定義してある病気にかかった人に 医者が「不治の病です」と告げたら。 その人は、「不治」ということばそのものの意味以上に ショックを受けてしまうのではないかと思いました。 どんな病気でも「100%、絶対絶対治らない」というものは ないと思います(進行具合は考えず、病気そのものを考えたとき)。 課題に出てきた「incurable cancer」も治癒率は10~15%ですし。 それに、今は治療法がない病気でも、将来みつかるかもしれない。 でも「不治」というと、なにをどうやっても治らない、 死ぬしかない、という印象を受けると思います。 実際はそうではないのに。 だから、「不治」は特別な場合を除いては 使ってはならないことばだと思います。 でも「不治」ということを意味することばを 使わなければならないこともあるでしょう。 そういうときのために、 「難治性の」ということばがあるのではないかと思いました。 「難治性」ときけば「治る確率がかなり低い」ということは わかるのですから。 もちろん、ことばそのままに「治りにくい」という意味でも 使うものだとも思いますが。 課題の英文を見ながら 「治癒率10~15%なのに不治の癌なんて訳したくないなぁ。どうしよう」 と思っていたところ、メディカプラスで 「incurable」を「難治性」と訳してある単語を見つけました。 とてもうれしかったです。 日本語はあいまいだと言われたりするけれど、 その大切さをちゃんとわかっている人もいるじゃないか。 そう思いました。 英語では 「curable」の反対語が「incurable」かもしれないけれど、 日本語では 「治療可能」の反対語は「不治」ではない。 「不治」を意味するときでも、 特別な場合を除いて「不治」とは言わない。 それが日本語のやさしさではないかなぁ、と思いました。 断じて「あいまいさ」ではなく。 もしかしたら、 「incurable」が「不治の」だけではなく「難治性の」も 意味する、というだけかもしれませんが^^; 「難治性の」が辞書に載っていなかっただけで・・・。 人気ブログランキング 応援お願いします ^^ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 19, 2009 06:32:02 PM
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