ガンマフィールド―SF映画のタイトルではありません・1
確かに、あまり関心のない方面のことでは、それが最低限知っていた方がいいのではないかということであったとしても、知らないことは山ほどあるのは重々承知のことです(残念ながら=恥ずかしながら)。しかし、それなりに関心を持っているあたりのことで、まったく知らない聞いたこともないというものに出くわすと、「えっ!どうして今まで知らなかったの?」という妙な驚きと共に、「これは誰かにいわなければ!」という思いにも駆られたりします。という理由で、今回は始まります。・いきなりまずは、癌(がん)の話になってしまいます。一般に現代医学でがんを治療する方法としては、3つあるといいます(実際にはほかにもいろいろありますが)。外科的手術、化学療法(抗がん剤=投薬)、放射線療法の「3大療法」といわれるものです。この内、がん化した部位が比較的小さく、かつほかに転移もしていないような初期のがんなどの場合は、外科的手術によって効果的にがんを除去できるといいます。しかし、外科手術の難しい部位にできたがんであったり、外科手術による患者の体力的負担を軽減したい場合などには、放射線療法というものが行なわれたりするようです。がん治療における放射線療法に関しては、現在目覚しく進歩していて、最先端のがんの治療方法として、「(重)粒子線治療」というものが限られた病院及びがんセンターにはなりますが、行なわれているようです(全国で6ヶ所、全世界でも19ヶ所)。この重粒子線治療の利点は、ピーポイントでがん部位に放射線を集中させることができるため、その効果が従来の放射線治療よりも格段に優れているにもかかわらず、皮膚の上層部などのがん化していない健康な細胞への悪影響(副作用)を、極力少なくできるというところにあるようです。(今のところ保険適用外の治療のため、実費で300万円ほどかかるようですが。)このように治療も進歩し、がんも治る病気のひとつになってきたといわれているわけですが、それにはやはり、がんの早期発見ということが重要になってきます。ということで、がん検診をする人も年々増えてきているようです。(なにせ、現代日本人の3人に1人はがんで亡くなる時代です。)(そして近い将来には、2人に1人はがんに罹るともいわれているようです。)そうした状況の中、数年前に画期的ながん検診の方法として、PET(ペット)検診(陽電子放射断層撮影)というものが登場しました。PET検診は、「がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、という性質を利用します。」このブドウ糖に、放射線を発する物質(FDG)をくっつけて体内に注射し、血管を通って体中に回ったところで、全身をPETで撮影します。もし、がん化している部位があるとFDGが多く集まって、それが断層撮影画面上に色の濃淡として表れ、確認できるというわけです。従来からあるCTやMRIよりも、初期の小さいがん細胞を見つけることができるということで、登場してきたものです。(このPET検診も保険が利かないため、実費で10数万円ほどかかるようですが、最近どうやら当初の期待ほど、がんが発見できないということがいわれてもいるようです。)・突然また話題はかわりますが、今度は「温泉」の話です。全国にはさまざまな特徴や効能を持った温泉があります。(温泉の特徴についてはこちらを。 いろいろあるものです。 http://www.ubuya.co.jp/10relax/01.html)そうした中でも特に、「万病に効く」ということで有名な温泉に、秋田の玉川温泉や鳥取の三朝温泉があります。玉川温泉は、「癒しの湯」といわれ、その場所にもかかわらず(スミマセン)、全国から多くの人が訪れているようです。「皮膚病、動脈硬化、神経痛、消化器疾患、リュウマチ、交通事故の後遺症などに著効がある他、人間が生まれながらにもつ自然治癒力を高め、全身の細胞の働きを活性化して心身を若返させる効果がある」といわれているからです。なぜか。玉川温泉のほかに類を見ない特徴とは、ひとつには「pH1.2の超強酸性で98℃というほとんど沸騰に近い熱水が、毎分9,000リットルという膨大な湯量で轟音とともに自噴する」こと。そしてもうひとつが、「『北投石』という、微量の放射線を持つ石を産出する温泉であること」です。「この北投石はラジウムなどの放射性元素を含む温泉水の成分が長い間に層を成して石化したもので、昭和27年に国の特別天然記念物に指定されました。」「日本では唯一玉川温泉だけで産出されるもので、世界中でもこれまで台湾の北投温泉、南米チリ、そして玉川温泉の3ヶ所でしか発見されていません。」三朝温泉(みささおんせん)は、鳥取県東伯郡三朝町にある温泉ですが、その泉質には、「ラジウムおよびラジウムがアルファ崩壊したラドンが含まれており、世界でも有数の放射能泉である」といいます。「また一部の旅館には高濃度のトロンを含む温泉もある」とのことです。ラジウム、ラドン、トロンとはすべて放射線を出す能力をもった元素です。三朝温泉は、「本格的な療養温泉でもあり、温泉医療のメッカとしても知られ、国立病院や大学病院、温泉研究所が至る所に見られる」というところだそうです。また一方では、「長期滞在者向けの旅館や自炊宿も見られ、観光と療養という両極性がこの温泉の特徴」だそうです。(国内の「放射能泉」については、こちらをどうぞ。 知りませんでしたがいろいろあります。 http://holmic.net/index2.html)こうした温泉は、もちろん日本だけの特徴ではありません。有名なところでは、オーストリアのバドガシュタインがあります。(さらには、イタリアのイスキア、ドイツのバーデン・バーデン、アメリカのボウルダー、さらに前述した台湾の北投温泉などが有名とのことです。)バドガシュタインはラドン温泉プール、ラドン温泉浴治療施設を設備しているほか、ホテルやペンションなど宿泊施設が多数整備された山あいの美しい町だそうです。ここでは、「ガシュタイン療養トンネル」という鉱山あとの坑道内の「ラドン数値の高い場所での岩盤浴によって、ガンやリウマチ、糖尿病など様々な疾病の治療を、医師の指導の元で行っている」そうです。そして、「痛みが取れる」「ガンが治る」という「噂」で、世界各国より多くの人が訪れるといいます。(ネットを見たら驚きました。)(バドガシュタインの石、楽天をはじめいろんなところで売っているんですね!)(これまた世間知らずが露呈しました。)(玉川温泉の北投石は、国の特別天然記念物なので持ち出せないことになっている、という話は聞いたことがありますが。)(その北投石もネットオークションにあったりするようです・・・)バドガシュタイン・ラジウム鉱石100g 長々と書いてきてしまいましたが、がんの検診、がんの治療、温泉療養、これらに共通するのは何かというと「放射線(放射能)」です。それもみてきた限りでは、我々にとって「有意義」に活用されているわけです。でも、放射線(放射能)です!※ちなみに、放射線と放射能についての混同―「放射能」とは「放射線を出す能力」をいい、「放射線を出す物」を「放射性物質」といいます。「放射能漏れ」や「放射能を浴びる」というのは、「放射性物質漏れ」や「放射線を浴びる」というのが正しいいい方だそうです。普通、ラドン温泉に行くなどと聞いても何の抵抗もないでしょうが(多分)、放射線(放射能)を浴びに行くと聞いたら「えっ」とならないでしょうか?でもこれが、「誰かにいわなければ!」と思ったびっくりしたことではありません。次回へつづく・・・