現代の言語道具説47「この言葉を覚え込んでほしい」
町田健氏は「覚え込む」という表現について、「複雑な手順や関係を含む技術や知識を確実に記憶することを意味する」とした上で、「「言葉」は単語のことだから、特に複雑な手順などが含まれているわけではない」から、「言葉は「覚え込む」ものではなく、単に「覚える」ものだ」と主張する。また、「「覚え込む」を使いたければ、「この言葉に関わる事柄を覚え込む」のように、内容が複雑だということを加える必要がある」と言うのである。 コトバンクによれば、「覚え込む」は「頭の中にしっかりと記憶する。技術などを身につける。」ことを意味する。単に「覚える」ではなくて、「しっかりと」覚えることを「覚え込む」というのであるから、別に内容が複雑かどうかは本来関係ない。 また、「「「覚え込む」を使いたければ」などという言語道具説的発想では、言語の本質である概念と言う認識の表現のあり方を正しく掴むことはできない。、「言葉は「覚え込む」ものではなく、単に「覚える」ものだ」という考え方の御仁が「言葉」について語ることなどできないのである。