|
テーマ:読書の愉しみ(959)
カテゴリ:ミステリー三昧
短編集『被告人、ウィザーズ&マローン』は、スチュアート・パーマーとクレイグ・ライスの共作ミステリーです。
二人は長年の友人でした。共作はほとんど手紙によって成り立ったものです。クレイグの提供する仕掛け・小道具・切り口・発端または結末の台詞を取り入れ、スチュアートが執筆したのです。 このシリーズは残念ながらクレイグの早すぎる死によって終わりになりました。「被告人、ウィザーズ&マローン」とあと1作は、クレイグの死後に発表されました。 いつも二日酔いの小柄な弁護士マローンは、歌姫ジャニーヌを殺したかどで逮捕されたコールマン・ジュニアの弁護に当たっていました。 が、マローンに買収されそうになったと法廷で証言する男が現れ、偽証教唆罪に問われそうになっています。 事務所でマローンが秘書のマギーと話していると、カルフォルニアからミス・ヒルデガード・ウィザーズがとんできました。 ふたりは偽の証言をした男を追いますが、罠にはまったマローンは片脚をつり上げられた状態で郡病院に入院する羽目に…。 どうしても酒が飲みたいマローンのやり口が漫画のよう。命がけの飲酒です。ウィザーズの病院潜入策もたいしたもの。元教師のオールドミス、ウィザーズは見かけによらない名推理と怖い物知らずの実行力で真相に至ります。 「ね、マローン、私のミスだわ。あの偉大なる大探偵の顰(ひそみ)に倣って、私が自信過剰担っていると思う時がきたら『ノーベリー』って耳元で囁いてちょうだい。『ノーベリー』っていうのは郡病院のことね」 言うまでもなく大探偵はシャーロック・ホームズです。これくらいは私でもわかります。 英語での語呂合わせ、言葉遊びが多いのですが、日本語だとぴんとこないのが残念。不思議の国のアリスやシェークスピアの引用も学がないので…。原語だともっとスラスラ楽しめるのでしょう。 それでも、ユニークなふたりに加えて、親切で一番常識的?なマギーの人物設定は愉快で、ストーリーの展開もメリハリがあって引き込まれます。 引用および参照元:スチュアート・パーマー&クレイグ・ライス 宮澤洋司・訳 『被告人、ウィザーズ&マローン』論創社 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 14, 2021 12:00:16 AM
コメント(0) | コメントを書く
[ミステリー三昧] カテゴリの最新記事
|