患者と家族のための泌尿器科のがんがわかる本 前立腺がん・膀胱がん・腎臓がん・腎盂がん・尿管がん [ 三浦猛 ]
男性なら誰もが気になる「前立腺がん」。PSA検診は前立腺がんを見つけるには非常に有用な方法です。
ほかの原因で亡くなった人を病理解剖したところ,その60~70%に,寿命に影響しなかった前立腺がんがあったと報告されています。それだけ,前立腺がんには悪性度が低めのものが多いのです。
早期の前立腺がんを「手術するグループ」と「治療せずに経過観察するグループ」にランダムに分けて20年間経過を追ったところ,両グループで前立腺がんの死亡率には,統計学的な差がなかったという,報告もあります。
いくら悪性度が低めと言っても,がんはがん。がんであると指摘された本人にしてみれば,「せっかく見つかったのなら,治してすっきりしたい」と思うのが心情ではないでしょうか。
早期がんを簡便に見つけるPSA検診があって,それに対する治療法があり,きちんと保険適用されます。
◇前立腺がんの治療。
前立腺がん治療の選択肢は非常に多岐にわたります。
早期~中期の前立腺がんであれば,「外科的手術」「放射線療法」「ホルモン療法」が,進行がんであれば「抗がん剤治療」が選択肢として挙げられます。
外科手術では,「一般的な手術」と,最近話題の「ロボット手術」に,放射線療法は外から放射線を当てる「外照射」と,小線源を体内に埋め込む「組織内照射」に分けられます。
エビデンス(科学的な証拠)はまだ乏しいけれど,「高密度焦点式超音波療法(HIFU)」「凍結療法」「粒子線治療(陽子線,重粒子線)」といった選択肢もあります。
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■参考文献
『有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン2008』
『有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン ERSPC・PLCO に関する更新ステートメント2011』
『前立腺がん検診ガイドライン2010年増補版』日本泌尿器科学会
『前立腺がん診療ガイドライン2016』日本泌尿器科学会