カテゴリ:奈良
シカの女王「白ちゃん」を知っている方はいますか。かつて、奈良公園のシカの中に、一頭だけ、額に白い毛が「王冠」のように生えている牝鹿がいました。その姿を見て、人々は「シカの女王」とよび、「今日は、シカの女王に会えてラッキーだった」といいました。そしてのちに「白ちゃん」という愛称が付けられました。 ふつうの牝鹿は、生まれて2年後ぐらいから子ジカを生むようですが、その特異な姿からか、8歳の時にようやく子ジカをもうけます。しかし、その子ジカは半月ほどで交通事故でなくなってしまいました。母の白ちゃんは、その後、子ジカの命を奪った「白い自動車」に対して敵意をむき出しにしていたともいいます。たった一頭しか子供に恵まれなかった白ちゃんですが、まもなく18才になろうかという昭和47年の7月に、自身も交通事故でなくなりました。 白ちゃんの生涯については、かつて岡部伊都子さんが「シカの白ちゃん」というタイトルの児童書にまとめて、筑摩書房から出版されました。同書には、奈良の写真家で、白ちゃんの幼いときから晩年までを写真に撮ってこられた飯村稀市さんの写真がたっぷりと収められています。(残念ながらお二人とも故人となってしまいました。以下の二枚の写真は飯村さんの作品です。) 今年、三条通りの商店街では、歩道を中心とした街路の拡幅整備にあわせて、安全な道路のシンボルとして「シカの白ちゃん」を人々の記憶によみがえらせ、そのイラストを募集しました。http://www.nara-sanjo.jp/event.html 全国から800通あまり、1000点近くの応募があったとのことで、現在、選考中だそうですが、中には「母ジカ」の白ちゃんに角が付いているものとかもあったらしい。 シカのイラストというと、まず「子ジカのバンビ」がイメージされてしまうようですが、白ちゃんの場合「シカの女王」とも呼ばれた存在ですから、可愛い中にも「威厳」と「品格」のあるものが選ばれて欲しいですね。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[奈良] カテゴリの最新記事
良いお話に接することができ、大変嬉しく思います。「神の使い」といわれる奈良公園の白鹿も全てが受難し、奈良市民として非常に残念です。古いアルバムを調べていると、50年前の私と「白ちゃん」のツーショットも見付かりました。拙ブログ『奈良公園の鹿「白ちゃん」の話』( http://ameblo.jp/magicdressbrunnen/entry-11476819160.html )に写真を掲載しておりますので、よろしければご覧下さい。
(2013.03.05 19:11:37)
|
|