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ドクターイワタの認知症ブログ~認知症専門外来と認知症専門往診を融合~

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沖縄へ その1 New! 道草.さん

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Nov 28, 2018
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東山植物園の紅葉


紅葉@東山植物園


野点@東山植物園


クリスマスリース@長久手南クリニック


クリスマスリース@長久手南クリニック

​症例報告​


インターネット検索で来院された。既往歴:小学生 多動を指摘。H22就職して仕事が覚えられない/鬱状態/休職、ADHD、未治療、精神科。H29/5ADHD、ストラテラ40mg→吐き気→中止、メンタルクリニック。新しいことが覚えられない、落ち込む、いらいら少々を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤脳梗塞なし。以上から、レビースコア:2.5、ピックスコア:2、注意スコア:6/9、多動スコア:4.5/8、注意欠陥多動障害(ADHD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:30/30、近時記憶6/6と軽度低下していた。認知機能低下ににフェルガード100M粒4錠を勧めた。注意欠陥障害(ADD)にストラテラ25mg/ガスモチン5mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:30/30、近時記憶6/6と不変、上記周辺症状はすべて改善した。甲状腺正常。一般採血:γGTP72,Ferritin50.2以外異常なし。VitB1=43,VitB12=743,葉酸=12.0。潜在性鉄欠乏性貧血(Ferritin100未満)にIRON36mg(Now Foods)を勧めた。



知り合いからの紹介である。既往歴:4年前食道癌、肺癌。H30/6フェルガード100M粒2錠開始。物忘れ、昼間傾眠、体重減少、腕組み、甘い物好きを呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③左>右側頭葉萎縮軽度、④左>右海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、⑥その他  左>右脳室拡大。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:10/30、近時記憶2/6と中等度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒2錠継続を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+15)、近時記憶5/6(+3)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺機能低下症(TSH11.31)。一般採血:Hb11.4以外異常なし。VitB1=22,VitB12=490,葉酸=9.6。るい痩にエネーボ250mLを開始した。



開業医からの紹介である。既往歴:内科①ニューロタン②デパス③オパルモン。物忘れ、夜間せん妄、歩行ゆっくり、左>右歯車様固縮、小刻み歩行、語義失語を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②左>右前頭葉萎縮軽度、③左側頭葉萎縮軽度、④左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:4.5、ピックスコア:5、レビー・ピック複合型認知症(LPC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:20.5/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mgを開始した。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:18/30(-2.5)、近時記憶2/6(-2)と軽度悪化、上記周辺症状はすべて消失した。レミニール4mg/ナウゼリン10mgを中止、8日後からドネペジル1.5mgを開始した。甲状腺正常。一般採血:s-Cr0.82,K3.3以外異常なし。VitB1=28,VitB12=293,葉酸=5.4。ビタミンB1低下症(目標値30)、ビタミンB12欠乏症/低下症(目標値500)、葉酸欠乏症/低下症(目標値10)を呈しており、豚肉摂取、毎日メコバラミン(ビタミンB12)0.5mg、毎週フォリアミン(葉酸)5mgを開始した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:21.5/30(+3.5)、近時記憶3/6(+1)と軽度改善した。ドネペジル1.5mgから1.67mgへ増量した。通院困難とのことで内科医に診療情報提供書作成した。



ケアマネからの紹介である。既往歴:内科①ノルバスク2.5mg②メイラックス1mg③ミカルディス80mg④デパス0.5mg⑤ザイザル。物忘れ、易興奮、尿便失禁、病識欠如、甘い物好き、鬱状態、生真面目を呈していた。老老介護。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②右>右前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤境界領域梗塞、⑥その他  両側淡蒼球石灰化、左クリッピング術後。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:7.5/9、改訂長谷川式:23/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。前頭葉症状にグラマリール25mgを開始、フェルガード100M粒1錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mgを開始、プロルベインDR1Capを勧めた。BP125/73。BP130-150を目標にノルバスク2.5mg維持/ミカルディス80mg中止した。夜間不眠にデパス0.5mg継承、メイラックス1mg中止とした。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、甲状腺正常。一般採血:Alb3.7,Hb10.8以外異常なし。VitB1=42,VitB12=588,葉酸=17.7。2か月後、認知機能低下にメマリー5mg開始した。BP 125/73。ノルバスク2.5mgから1.25mgへ減量した。3か月後、中核症状は時計描写テスト:8/9(+0.5)、改訂長谷川式:29/30(+6)、近時記憶6/6(+2)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。BP138/93。


知り合いからの紹介である。既往歴:子宮癌。左股関節人工関節置換術。物忘れ、幻視、妄想、易興奮、昼間傾眠、甘い物好き、収集癖、生真面目、右への傾き、身だしなみ低下を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所。以上から、レビースコア:5、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:13.5/30、近時記憶4/6と中等度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒4錠、認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgが貼れず、4日目からレミニール4mg/ナウゼリン10mgへ変更した。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:16/30(+2.5)、近時記憶3/6(-1)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Fe47,Hb11.8,Ferritin60.9以外異常なし。VitB1=28,VitB12=322,葉酸=7.0。ビタミンB1低下症(目標値50)、ビタミンB12低下症(目標値500)、葉酸低下症(目標値10)を呈しており、エネーボ250mL/dayを開始した。鉄欠乏性貧血にフェロミア50mgを開始した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+4)、近時記憶3/6(+-)と更に軽度改善した。フェロミア50mgは吐気のため中止していた。


栄養療法による認知症予防および治療
筆者は昨年11月から1000名以上の患者のビタミンB群をチェックして低下症または欠乏症に対して薬物治療による補充療法を行ってきました。今までに得られた知見を纏めましたのでここに記載致します。

ビタミンB1補充は投薬でなく豚肉で摂取すべし
今までにビタミンB1欠乏症の薬物治療による補充療法を行うことで易怒性を改善することが出来、ウインタミンなどの抑制系薬剤を減量できるとお伝えしてきました。しかし、ビタミンB1薬物補充療法を継続すると逆に易怒性を増すこと、多動(疲れてもじっと座っていられない状態)になることで転倒から大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折となる患者が続出したこと、慢性心不全患者の心機能悪化をもたらしたことなど、反省期に入り、ビタミンB1薬物補充療法を中止するに至りました。現在では、ビタミンB1欠乏症を認めた場合、豚肉摂取量増加、白米から胚芽米への転換などの食事指導を行っています。ビタミンB1目標値を当初の50ng/mLから30ng/mLに変更しました。​

ビタミンB12および葉酸は薬物投薬してでもホモシステインを減らして動脈硬化予防すべし
一方、ビタミンB12欠乏症の薬物治療による補充療法は、認知機能および欝状態の著明改善に繋がりました。内服治療で改善する場合と、注射治療が必要な場合との見定めが大切です。欠乏症232pg/mL以下の場合は、シアノコバラミン注射療法(毎週4回、以後毎月)とメコバラミン内服療法を併用して、出来るだけ早くビタミンB12目標値500pg/mL以上を達成します。胃全摘または萎縮性胃炎と確定診断出来ている場合は、注射療法(毎月)を継続します。それ以外の場合は、目標値500pg/mLに達したら内服療法のみとして、3か月後に血中濃度をチェックします。低下症233以上500pg/mL未満の場合は、内服療法のみとしています。ビタミンB1と比較して、ビタミンB12は過量投与になっても副作用はありませんでした。​


次に、葉酸欠乏症の薬物治療による補充療法は、癌既往がある場合には腫瘍増大を招く危険があり投与回避しなければなりません。リウマチ治療のリウマトレックス投与の補充療法と同様にフォリアミン5mg1錠毎週1回投与で葉酸目標値10ng/mLを達成できることがわかりました。葉酸1週間1回投与で特別な副作用はありませんでした。

ビタミンB12および葉酸欠乏症は、高ホモシステイン血症を引き起こし、動脈硬化を悪化させることがわかっており、セットで治療を行うべきと考えます。しかし、薬物過敏の患者の場合は、易怒性を引き起こすことがあることに注意を払い、易怒性が出た場合は直ちに薬物治療は中止すべきです。​

​​ビタミンB群補充より低アルブミン血症治療を優先すべし
また、低アルブミン血症を伴い、低栄養に伴うビタミンB群欠乏症にビタミンB群を投与するとるい痩を悪化させることがわかり、食事療法による低糖質高タンパク食指導を指導します。加えて、ビタミンおよびミネラル各種を適量含む経管栄養剤エネーボなどで栄養補充します。しかし、経管栄養剤で下痢を引き起こす場合は、1回量を減らしてミヤBMやベリチームなどの整腸剤を併用、それでも下痢が続く場合は中止せざるを得ません。るい痩が強い患者には、抗認知症薬ではなくエネーボを投与するだけで認知機能改善する患者が結構おられます。

鉄および亜鉛欠乏症は万病の元であることを知るべし
​ミネラル欠乏症に対しては、鉄および亜鉛欠乏症について重点的に治療を行ってきました。鉄欠乏症についてはHbや血清鉄だけでなく、総鉄結合能(TIBC) およびフェリチン(Ferritin)を測定しています。総鉄結合能(TIBC) 低下であれば低トランスフェリン血症、すなわち低アルブミン血症に伴うHb低下、低血清フェリチン(Ferritin)低下であえば鉄備蓄欠乏に伴うHb低下であることが判明します。亜鉛欠乏症では、舌萎縮に伴う味覚低下が見られ、食欲低下から低栄養を引き起こします。

認知症予防および治療は栄養補給が最重要であることを知るべし
​以上から、認知症予防のためには、低栄養に伴う低アルブミン血症、ビタミンB群欠乏症、鉄および亜鉛欠乏症を早期に発見して食事指導および薬物による補充療法を優先すべきです。脳内アミノ酸であるセロトニン、メラトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンは、これらの栄養素から合成されることが知られており、どれか一つが欠乏しても認知症の発病に繋がることを熟知した上で、定期的なアルブミン、ビタミンB群、血清鉄および亜鉛、TIBCおよびフェリチンを含む血液検査を行い、欠乏を認めた場合には迅速な対処をしなければなりません。







Last updated  Nov 28, 2018 12:45:42 AM

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