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カテゴリ:認知症専門外来と専門往診の二刀流
東山植物園の紅葉2~太陽光に栄える紅葉~ 久しぶりに家族で東山植物園に紅葉を見に行きました。前回に続き東山公園の紅葉です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)に対する治療を積極的に行っています~長久手南クリニック認知症専門外来で最高の治療を~ 脳萎縮は頭部CTで判断すべきです。頭部MRIでは脳萎縮がなくても脳溝がすべて見えてしまうので脳萎縮かどうかを判断することが出来ません。従って、認知症外来は頭部MRIではなく頭部CTで行うべきです。脳ドックは頭部MRIで行うため脳萎縮があるかを正確に判断することは出来ません。 最近、軽度認知障害(MCI)がエーザイなどのコマーシャルなどにより一般に知られるようになりました。御家族や御本人が軽度認知障害を心配される場合は、頭部MRIではなく頭部CTで脳萎縮を判断して、問診、簡易知能検査(改訂長谷川式簡易知能評価スケールや時計描画テストなど)、神経学的所見、血液検査(甲状腺機能/ビタミンB群/亜鉛/鉄などを含む)で確定診断します。同時に、降圧剤による過降圧、高脂血症治療薬、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、神経遮断剤などの医原性認知症を排除します。必要に応じて抗認知症薬ではなくサプリメントから治療を開始します。 1週間後に血液検査の結果で薬物栄養補充療法および食事栄養療法を開始します。これらの治療により改善して認知機能正常に戻られる方が多数見られます。正常に戻らない場合は、介護医療連携により介護サービス導入を積極的に行い、外刺激を増やすことで認知機能正常を目指します。それでも改善しない場合、抗認知症薬を少しずつ投与して参ります。 軽度認知障害を疑ったら、正しく診断して、正しい治療を早期に行うことが大切です。軽度認知障害を含む認知症は一人一人全く違う機序で発症します。17年間で認知症外来初診9000名の実績をもつ長久手南クリニック院長岩田明にお任せ下さい。 症例報告 ![]() 知り合いからの紹介である。既往歴:S59胆石症、八事病院。R1乳癌、肺転移、肝転移、西知多総合病院①パンテチン②酸化マグネシウム③フロセミド④デノタス⑤オキシコドン⑥アセトアミノフェン。R5/6側頭葉てんかん、国立長寿医療医療センター①デパケンR100mg②ビムパット100mg。知多診療所①カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩。物忘れ、幻視、暴言、昼間傾眠、易興奮、易転倒、感情失禁、病識欠如を呈していた。頭部CT:以上から、レビースコア:8、ピックスコア:1、レビー小体型認知症(DLB)/多発性脳梗塞として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:19/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。認知機能低下にタリージェ10mg中止指示、フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。認知機能低下ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。21日後、中核症状は改訂長谷川式:28/30(+9)、近時記憶6/6(+2)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:BUN24.7,s-Cr0.81,Alb3.4,γGTP95,GOT35,TG234,Hb8.7,Zn63以外異状なし。VitB1=36,VitB12=2069,葉酸=4.7。 治療のポイント 1.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。 2.神経障害性疼痛治療薬中止 整形外科で出される神経障害性疼痛治療薬に「リリカ(プレガバリン)」、「タリージェ(ミロガバリンベシル)」は眠気が強く認知機能を低下させます。中枢神経系において電位依存性Caチャネルの機能に対し補助的な役割をなすα2σサブユニットとの結合を介して,Caチャネルの細胞表面での発現量及びCa流入を抑制し、グルタミン酸等の神経伝達物質遊離を抑制することが示唆されています。さらに,鎮痛作用には下行性疼痛調節系のノルアドレナリン経路及びセロトニン経路に対する作用も関与しています(今日の診療プレミアム Vol.32)。 ![]() 知り合いからの紹介である。既往歴:R4/12左大腿骨転子部骨折、名古屋市立大学医学~東部医療センター~重工記念病院。R5/5/18ドネペジル3-5mg、東部医療センター脳神経内科。物忘れ、昼間傾眠、食欲低下、薬物過敏、生真面目、歩行不安定、歯車様固縮、語義失語を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③右>左側頭葉萎縮軽度、④右>左海馬萎縮軽度、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞、⑥その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)/特発性基底核石灰化症(IBGC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:25/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。食欲低下、薬物過敏、歩行不安定、歯車様固縮にドネペジル5mg中止、認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒1錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にバイアスピリン100mgを開始、シトルリン含有赤ミミズ1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。14日後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+-)、近時記憶4/6(+-)と不変、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.0,TG224,Zn68以外異状なし。VitB1=32,VitB12=254,葉酸=3.8。低アルブミン血症に鶏卵2個増やす。ビタミンB12欠乏症に対してメコバラミン0.5mg、シアノコバラミン1mg、亜鉛欠乏症にプロマック75mgを開始した。 治療のポイント 1.ドネペジル3-5mgによる薬剤性パーキンソニズムが出現したら一旦中止 ドネペジル3-5mgによる薬剤性パーキンソニズム(振戦、易転倒、歩行不安定)にも注意が必要であり、症状が出現した場合はドネペジル中止します。2週間以上経過してから必要に応じてリバスタッチ4.5mgを開始します。レビー小体型認知症(DLB)/石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患は薬物過敏を伴うためリバスタッチは9mgで維持します。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 2.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。 3.ビタミンB12低下症 ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。 4.味覚低下または亜鉛欠乏症 亜鉛欠乏症に対してはプロマック75-150mgを開始します。亜鉛欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。プロマックを投与することで興奮状態となる場合があるため注意が必要です。興奮状態になった場合は直ちに中止して、ノベルジン25mgを開始します。ノベルジンは吐気のため食欲低下を招くことがあり、興奮を伴う場合のみ投与します。食事栄養療法(牡蠣、あさり、アーモンド、レバー、ほたて、卵、鶏・牛・豚、しじみ、納豆など)および経管栄養剤(エネーボ、イノラス、エンシュア、ラコールなど)を投与します。 5.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療 赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。 6.シトルリンによる腎不全に対する治療 シトルリン粉末は一酸化窒素(NO)産生を促進することで血管拡張、毛細血管血流促進作用を引き起こします。筆者は2023年11月26日に開催した第3回抗加齢・赤ミミズエキス研究会において、シトルリン含有赤ミミズエキス粉末(投与量1.89Cap/日)は103名(男性25名、女性78名)の投与患者において投与前と6か月後を比較して有意な拡張期血圧降下(P<0.01)、収縮期血圧(P<0.001)、腎血流改善作用(eGFR増加)(P<0.00001)があったと報告しました(認知症治療研究会誌4(2)83-94)。腎血流改善作用は著しく腎機能改善のための第1選択サプリメントと言えます。 ![]() 知り合いからの紹介である。既往歴:R1鬱状態、認知症、吉良内科①アバプロ100mg?アムロジピン2.5㎎③メインテート2.5㎎④ドネペジル5㎎⑤ベオーバ50mg⑥ベルソムラ15mg→悪夢のため中止⑦ジェイゾロフト75mg。物忘れ、薬物過敏、昼間傾眠、易転倒、右>左振戦、右>左歯車様固縮を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮軽度、③側頭葉萎縮軽度、④海馬萎縮、⑤両側基底核ラクナ梗塞数カ所、境界領域梗塞。以上から、レビースコア:6、ピックスコア:0、レビー小体型認知症(DLB)/脳血管性認知症(VD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:21/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。易転倒、右>左振戦、右>左歯車様固縮に前医からのドネペジル5mg中止、認知機能低下にフェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にサアミオン10mgを開始、シトルリン含有赤ミミズ1Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。14日後、中核症状は改訂長谷川式:26.5/30(+5.5)、近時記憶6/6(+3)と著明改善、歩行安定、上記周辺症状はすべて消失した。甲状腺正常。一般採血:Alb4.0,LDH244以外異状なし。VitB1=26,VitB12=418,葉酸=7.5。 治療のポイント 1.ドネペジル3-5mgによる薬剤性パーキンソニズムが出現したら一旦中止 ドネペジル3-5mgによる薬剤性パーキンソニズム(振戦、易転倒、歩行不安定)にも注意が必要であり、症状が出現した場合はドネペジル中止します。2週間以上経過してから必要に応じてリバスタッチ4.5mgを開始します。レビー小体型認知症(DLB)/石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患は薬物過敏を伴うためリバスタッチは9mgで維持します。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒による認知症治療 2.フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は軽度認知障害(MCI)の状態で投与すると認知機能改善および認知症発症予防に有効です。フェルラ酸50mg/ガーデンアンゼリカ10mg粒は前頭葉の活性を上げることで前頭側頭葉変性症に伴う脱抑制行為抑制および認知機能改善に有効です。興奮性があり抗認知症薬(ドネペジル/レミニール/リバスタッチ)を投与すべきでない場合に第一選択の選択肢です。金銭的にサプリメント購入不可の場合、フェルラ酸代替品としてガンマオリザノール50mg2錠1日2回朝夕食後を処方します。 3.赤ミミズエキス粉末による妄想に対する治療 赤ミミズエキス(ルンブルクス・ルベルス)粉末は糖尿病、高血圧、高脂血症を患っている人に適応があり、特に脳梗塞や心筋梗塞を起こした人に再発作の予防に効果があります。頸動脈エコー19名で有意なプラーク(内膜肥厚)の減少(投与前 vs. 3ヶ月後で有意差、3ヶ月後 vs. 6ヶ月後で有意差)(日本東洋医学雑誌66(4)278-281,2015)を認めました。血圧降下作用、収縮期圧12mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.001)、拡張期圧5mmHgの血圧降下作用(投与前 vs. 8ヶ月後で有意差 P<0.01)を認めました。筆者は頭部CTで脳血管性認知症(VD)(境界領域梗塞や白質梗塞を含む)を認めた場合、特に物とられ妄想、嫉妬妄想などの症状が見られる場合に適応としています。脳血流改善作用、頸動脈、椎骨動脈、冠動脈など全身血流改善を認め、褥瘡治療にも有効です。赤ミミズエキスを投与して血圧を高めに維持しても妄想が続く場合にはセレネース0.2mg1日1回夕食後を開始します。 4.シトルリンによる腎不全に対する治療 シトルリン粉末は一酸化窒素(NO)産生を促進することで血管拡張、毛細血管血流促進作用を引き起こします。筆者は2023年11月26日に開催した第3回抗加齢・赤ミミズエキス研究会において、シトルリン含有赤ミミズエキス粉末(投与量1.89Cap/日)は103名(男性25名、女性78名)の投与患者において投与前と6か月後を比較して有意な拡張期血圧降下(P<0.01)、収縮期血圧(P<0.001)、腎血流改善作用(eGFR増加)(P<0.00001)があったと報告しました(認知症治療研究会誌4(2)83-94)。腎血流改善作用は著しく腎機能改善のための第1選択サプリメントと言えます。 ![]() インターネット検索で来院された。プール塩素バルブしめ具合不良2回を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤脳梗塞なし。以上から、レビースコア:、ピックスコア:、注意スコア1.5/5、多動スコア0/4、ASスコア0/4、正常範囲内として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:29/30、近時記憶6/6と正常範囲内を呈していた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。14日後、甲状腺正常。一般採血:TCL183以外異状なし。VitB1=38,VitB12=253,葉酸=3.1。ビタミンB12欠乏症に対してメコバラミン0.5mg、シアノコバラミン1mg筋注、葉酸欠乏症にフォリアミン5mg/週を開始した。42日後、物忘れが消失した。シアノコバラミン1mg筋注、希望によりビタミンB12欠乏症/葉酸欠乏症に対してサプリメント摂取とした。4.5月後にビタミンB1/葉酸血中濃度を測定することにした。 治療のポイント 1.ビタミンB12低下症 ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。 2.ビタミンB12欠乏症/葉酸欠乏症はホモシステイン過剰症(6μmol/L以上)により血管と脳にダメージを与える ホモシステイン値が高いことは、アルツハイマー病の重大要因である(ホモシステイン高値は心血管疾患、脳卒中、いくつかの癌の重大要因でもある)。ホモシステインは炎症とシナプス喪失の原因となる。ホモシステイン→メチオニン変換にはビタミンB12、ビタミンB6、葉酸が必要である。ビタミンB12欠乏症/葉酸欠乏症が合併するとホモシステイン値が上昇し、血管と脳にダメージを与える。6μmol/Lを超えると海馬の萎縮が早くなり認知症のリスクとなる("The End of Alzheimer's"、written by Dale E. Bredesen MD)。 ![]() 知り合いからの紹介である。既往歴:H15胃癌、全摘術、愛知県がんセンター。物忘れ、関節痛を呈していた。頭部CT:①頭頂葉萎縮なし、②前頭葉萎縮なし、③側頭葉萎縮なし、④海馬萎縮なし、⑤境界領域梗塞、多発性脳梗塞。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:0、胃全摘後ビタミンB12欠乏症疑いとして治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:28/30、近時記憶6/6と軽度低下していた。ビタミンB1、B12、葉酸、TIBC、Ferritin、Zn血中濃度を測定した。7日後、甲状腺正常。一般採血:Hb11.5,Zn70,Ferritin12.6以外異状なし。VitB1=26,VitB12=63,葉酸=11.6。胃全摘後ビタミンB12欠乏症に対してシアノコバラミン1mg筋注を開始した。鉄欠乏性貧血に対してフェロミア50mgを開始した。21日後、胃全摘後ビタミンB12欠乏症に対してシアノコバラミン1mg筋注、フェロミア50mgで頭痛中止、ヘム鉄を勧めた。 治療のポイント 1.ビタミンB12低下症 ビタミンB12欠乏症は栄養および薬物補充療法により認知機能改善が見込めます。ビタミンB12=500μg/dlを目標にメコバラミン0.5-1mgを開始します。胃癌に対する胃2/3-全切除術の既往がある場合は、ビタミンB12吸収障害のため毎週シアノコバラミン1Ap筋注を1ヶ月間、翌月からは毎月シアノコバラミン1Ap筋注とします。 2.鉄欠乏性貧血に対する治療 TIBC(トランスフェリン、鉄結合性糖蛋白質=受容体を介して鉄の受け渡しを行う蛋白質)が正常範囲内(250-440μg/dL)で鉄備蓄フェリチン(Ferritin)が低下(50ng/mL未満、特に20ng/mL未満)している場合は、毎月フェジン80mg/生理食塩水100mL点滴静注、フェロミア100mgまたはフェルム100mg(吐気、便秘に注意)、ヘム鉄などを投与します。低アルブミン血症に伴うTIBC(トランスフェリン、鉄結合性糖蛋白質=受容体を介して鉄の受け渡しを行う蛋白質)低下で鉄備蓄フェリチン(Ferritin)が正常範囲内(50-100ng/mL程度)の場合は栄養補充のみでよい。
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Last updated
Dec 23, 2024 12:58:44 PM
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