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カテゴリ:認知症専門外来と専門往診の二刀流
長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト
第31回認知症勉強会~ドクターコウノの認知症講演~ 平成27年11月25日(水)名古屋フォレストクリニック河野和彦先生に「認知症点滴療法カクテルの考え方」について講演して頂いた。 GCS点滴(グルタチオン/シチコリン/ソルコセリル)を駆使した認知症関連疾患の点滴治療について症例を呈示しながらの迫力満点の講演だった。長久手南クリニック関連のケアマネージャーを中心に66名が当クリニック外来待合室に集まった。 勉強会の用意は前日までに完了。 症例報告 施設からの紹介である。既往歴:S50左乳癌。H27/8/25-9/26第12胸椎圧迫骨折。物忘れ、幻視(入院中のみ)、妄想、帰宅願望、徘徊、小刻み歩行、歯車様固縮を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.左側頭葉萎縮先端部軽度、4.左海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所、境界領域梗塞軽度、6.その他 左>右脳室拡大。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:3、レビー小体型認知症(DLB)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:6/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶5/6 と中等度低下していた。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgを開始した。1か月後、中核症状は時計描写テスト:8.5/9(+2.5)、改訂長谷川式: 22/30(+6)、近時記憶6/6(+1) と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。 地域包括支援センターからの紹介である。物忘れ、昼間傾眠、薬物過敏、振戦を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮なし、5.脳梗塞なし、6.その他 左>右ピック切痕。以上から、レビースコア:3.5、ピックスコア:0、レビータイプの軽度認知障害(MCI)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:25/30、近時記憶4/6と軽度低下していた。認知機能低下にNewフェルガードLA粒4錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(+2)、近時記憶4/6(+-)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:30/30(+3)、近時記憶6/6(+2)と治癒状態となった。 知り合いからの紹介である。既往歴:H21脳梗塞、左不全片麻痺。大学病院精神科1.アリセプト5mg2.バイアスピリンなど。物忘れ、易興奮、夜間大声、夜間不眠、うつ状態、尿便失禁、生真面目、振戦、小刻み歩行、歯車様固縮、易転倒を呈していた。。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.左側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮なし、5.両側基底核ラクナ脳梗塞多数。以上から、レビースコア:6.5、ピックスコア:4、レビー・ピック複合(LPC)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:21.5/30、近時記憶5/6と軽度低下していた。老人性うつスコアGDS-5 Score 3/5、GDS-15 8/15と鬱状態であった。易興奮/夜間大声/易転倒にアリセプト5mg中止、認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。脳梗塞にプレタール100mg、易転倒にドパコール100mg/グルタチオン10/ソルコセリル1Ap/ビタミンC2g/ビタミンB12、鬱状態にジェイゾロフト25mgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:16/30(-5.5)、近時記憶1/6(-4)と著明悪化、いらいら夜のみ、歯車様固縮軽度以外上記周辺症状はすべて消失した。認知機能低下にリバスタッチパッチ4.5mgから9mgへ増量、脳梗塞にサアミオン10mg開始、易転倒にドパコール100mgから200mgへ増量した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:20.5/30(+4.5)、近時記憶6/6(+5)と更に著明改善した。10か月後、中核症状は改訂長谷川式:19/30(-1.5)、近時記憶2/6(-4)と中等度悪化した。認知機能低下にメマリー5mg開始した。12か月後、中核症状は改訂長谷川式:27/30(+8)、近時記憶6/6(+4)と著明改善、上記周辺症状はすべて消失した。 知り合いからの紹介である。既往歴:H26/4アリセプト3-5mg。物忘れ、易興奮、徘徊、病識欠如、大量購入、語義失語、甘い物好き、うつ状態、生真面目を呈していた。頭部CT: 1.頭頂葉萎縮なし、2.左>右前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.脳梗塞なし、6.その他 左>右大脳半球萎縮。以上から、レビースコア:0.5、ピックスコア:6、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:16/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M粒4錠を勧めた。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+4)、近時記憶1/6(+-)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。認知機能低下にレミニール4mgから8mgへ増量した。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+2)、近時記憶0/6(-1)と不変だった。7か月後、中核症状は改訂長谷川式:25/30(+3)、近時記憶6/6(+6) と著明改善した。 ケアマネからの紹介である。既往歴:H25軽度認知障害、リバスタッチ4.5-18mg。物忘れ、幻聴、昼間傾眠、易転倒、食欲低下、甘い物好き、収集癖を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.側頭葉萎縮なし、4.海馬萎縮軽度、5.境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。 以上から、レビースコア:6.5、ピックスコア:1、レビー小体型認知症(DLB)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DTNC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:17/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。認知機能低下にリバスタッチ18mg→3日間中止→9mg維持、NewフェルガードLA粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgとサアミオン10mgを開始、プロルベインDR2Capを勧めた。歩行不安定にオパルモン10μgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:17/30(+-)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。4か月後、改訂長谷川式:18/30(+1)、近時記憶4/6(+1)と更に軽度改善した。 レミニールも少量投与が必須~レミニールはFTLDおよびMIXに合う~ レミニールは8mg、16mg、必要に応じて24mg と28日毎に増量して、16mgまたは24mgで維持量にすると言う増量規定があります。しかし、筆者らの経験から臨床病型ではFTLDおよびMIXに第一選択、FTLDの至適用量は4-8mg、MIXの至適用量は4-16mgであることが経験的に分かってきました。レミニールには嘔吐という副作用があり、レミニール開始と同時に胃腸機能調整薬ナウゼリン10mgを投与します。 FTLDの場合、レミニール4mgから開始して認知機能改善が見られたら、増量せずにそのままの用量を維持します。8mgに増量することで認知機能が悪化、すなわち中核症状や周辺症状が悪化することがあるからです。経過中に認知機能悪化が見られたら、4mgから8mgに増量して8mgで維持します。あくまでも認知機能悪化が見られた時、レミニールを増量することが大切です。むやみに、レミニールを増量することは慎まなければなりません。増量して認知機能が悪化した場合は、ためらわずに4mgずつ減量します。FTLDでも興奮性のある場合は陽性症状治療薬グラマリール25mgを併用します。 MIXの場合、FTLDと比較して興奮性が少ないためFTLDと同様に必要に応じて漸増して16mgまで増量可能です。 ドクターイワタの認知症講演 吉田一平後援会地区役員会でドクターイワタの認知症講演を下記のように行います。席に余裕があるそうですので参加希望者は現地に集合して下さい。 日時:平成27年12月5日(土)午後3時-4時 場所:JAあいち尾東 長久手支店2階 会議室 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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Jun 18, 2023 05:07:00 PM
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