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ドクターイワタの認知症ブログ~東海エリア最高の治療実績~

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Feb 12, 2018
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長久手南クリニック 認知症/発達障害 新患予約サイト​

ビタミン補充療法

6か月前から行ってきたビタミンB群補充療法を下記に纏めました。現代人が白米を食べるようになり、ビタミンB1欠乏症は誰にでも起こるポピュラーな病気になったのです。皆さん、胚芽米(胚芽精米)または7分づき米を食べましょう。胚芽米が一番のお勧めですが、簡単にビタミンB群を摂取するには葉酸米などの強化米を炊飯器に投入する方法もあります。
20180204@胚芽精米
胚芽精米@自宅
20180204@葉酸米
ハウス葉酸米@自宅

症例報告

20180204@6506@1126
親戚からの紹介である。既往歴:内科 1.エディロール 2.カルブロック 3.メイラックス 4.クレストール。独居。物忘れ、易興奮、甘い物好き、収集癖、生真面目、腕組み、使用行動、鬱状態を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.右側頭葉萎縮軽度、4.右>左海馬萎縮中等度、5.両側基底核ラクナ脳梗塞数カ所、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:2、ピックスコア:6、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:9/9、改訂長谷川式:19/30、近時記憶1/6と軽度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール50mgを開始した。3か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+3)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善した。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定と同時にビタノイリン(複合ビタミンB1,B2,B6,B12)50mgを開始した(現在は採血結果に対して補充療法を開始している)。7か月後、改訂長谷川式:27/30(+5)、近時記憶6/6(+3)と著明改善した。VitB1=30,VitB12=209,葉酸=5.7。ビタミンB1低下症、ビタミンB12欠乏症を呈しており、ビタノイリン50mgを継続、ビタミンB1/B12食事療法を指導した。

20180204@7114@1127
インターネット検索で来院された。既往歴:お_む_メモリークリニック/前頭側頭型認知症 1.アリセプト3mg(6/9~6/20服用)→不変中止。内科 1.アムロジピン 2.オルメテック 3.ベザトール 4.エパデール。物忘れ、生真面目 、腕組み、甘い物好きを呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.左>右前頭葉萎縮軽度、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:1、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:25/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒4-6錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプロルベインDR4Capを勧めた。4か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(-2)、近時記憶5/6(+2)と軽度改善した。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定と同時にビタノイリン(複合ビタミンB1,B2,B6,B12)100mgを開始した(現在は採血結果に対して補充療法を開始している)。7か月後、改訂長谷川式:28/30(+5)、近時記憶6/6(+1)。VitB1=28,VitB12=266,葉酸=5.6。ビタミンB1低下症、ビタミンB12低下症を呈しており、ビタノイリン100mgから50mgへ減量して維持、ビタミンB1/B12食事療法を指導した。

20180204@7209@1128
親戚からの紹介である。既往歴:内科 1.アダラートCR 2.アルファカルシドール 3.リポバス 4.エパデール 5.ベルソラム錠15mg 6.ロゼレム錠8mgなど。物忘れ、アパシー、語義失語、甘い物好き、生真面目、左歯車様固縮を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮なし、3.左>右側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞多数、境界領域梗塞、6.その他 両側淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:3、ピックスコア:4、レビー・ピック複合(LPC)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8.5/9、改訂長谷川式:17.5/30、近時記憶2/6と中等度低下していた。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始、フェルガード100M/粒2錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にプレタール100mgとサアミオン10mgを開始、プロルベインDR2Capを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(+5.5)、近時記憶4/6(+2)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。VitB1=49,VitB12=362,葉酸=3.5。葉酸欠乏症を呈しており、フォリアミン(葉酸)10mgを開始した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:23/30(+5.5)、近時記憶4/6(+2)と中等度改善、上記周辺症状はすべて消失した。VitB1=49,VitB12=362,葉酸=3.5。葉酸欠乏症を呈しており、フォリアミン(葉酸)10mgを開始した。3か月後、改訂長谷川式:17/30(-6)、近時記憶1/6(-3)と中等度悪化、レミニール4mgから8mgへ増量した。5か月後、改訂長谷川式:25.5/30(+8.5)、近時記憶4/6(+3)と著明改善した。

20180204@7322@1129
知り合いからの紹介である。既往歴:左大腿動脈ステント。物忘れ、アパシー、腕組み、甘い物好き、生真面目を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.左>右海馬萎縮中等度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、6.その他 脳梁欠損症。以上から、レビースコア:0、ピックスコア:4、前頭側頭葉変性症(FTLD)/脳症欠損症として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:20/30、近時記憶3/6と軽度低下していた。認知機能低下にフェルガード100M粒4錠を勧めた。脳血管性認知症(VD)にロトリガ2gを勧めた。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定と同時にビタメジン(複合ビタミンB1,B6,B12)25mgを開始した(現在は採血結果に対して補充療法を開始している)。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:20/30(+-)、近時記憶2/6(-1)と不変だった。認知機能低下にレミニール4mg/ナウゼリン10mgを開始した。VitB1=33,VitB12=329,葉酸=4.8。ビタミンB1低下症、ビタミンB12低下症、葉酸低下症を呈しており、ビタメジン(複合ビタミンB1,B6,B12)25mg維持、フォリアミン(葉酸)5mgを開始、ビタミンB1/B12/葉酸食事療法を指導した。2か月後、中核症状は改訂長谷川式:22/30(+2)、近時記憶4/6(+2)と軽度改善した。

20180204@7356@1130
からの紹介である。既往歴:S35統合失調症。 H19糖尿病。精神科 1.セレネース1.5mg 2.テグレトール200mg 3.アーテン4mg 4.ドネペジル5mg 5.セレニカR1000mg 6.レンドルミン0.25mg 7.アモバン7.5mg。糖尿病内科 1.ニューロタン 2.アクトス 3.メトグルコ 4.ジャヌビア 5.プロペト。泌尿器科 1.ハルナール 2.トビエース。物忘れ、昼間傾民、夜間不眠、意識消失発作、易転倒→救急搬送、発達障害、欝状態、膝組み、振戦、小刻み歩行、歯車様固縮を呈していた。頭部CT:1.頭頂葉萎縮なし、2.前頭葉萎縮軽度、3.側頭葉萎縮軽度、4.海馬萎縮軽度、5.両側基底核ラクナ梗塞数カ所、6.その他 右淡蒼球石灰化。以上から、レビースコア:4、ピックスコア:2、レビー小体型認知症(DLB)を呈する石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)類似疾患/発達障害(DD)として治療を開始した。中核症状は時計描写テスト:8/9、改訂長谷川式:15/30、近時記憶1/6と中等度低下していた。歩行困難のためドネペジル5mg中止、8日目からリバスタッチパッチ4.5mgを開始とした。ビタミンB1、B12、葉酸血中濃度を測定した。1か月後、中核症状は改訂長谷川式:17/30(+2)、近時記憶3/6(+2)と軽度改善、上記周辺症状はすべて消失した。VitB1=31,VitB12=293,葉酸=4.2。ビタミンB1低下症、ビタミンB12低下症、葉酸低下症を呈しており、ハウス葉酸米(ビタミンB1/B6/B12/葉酸)を勧めた。



ビタミンB群補充療法の結末

筆者は、昨年8月から認知症外来通院中の患者全員にビタミンB1、B12、葉酸(B9)の血中濃度を施行しました。数ヶ月前、ビタミンB群補充療法1か月後の200-250例の患者さんの結果については報告しました。

今回は、6か月経過して新たに得られた知見をご報告します。今週の症例報告の中にもビタミン補充療法が著効を呈した症例がありました。このように副作用がなく認知機能が著明改善することがあるので認知症患者全員にビタミンB1、B12、葉酸(B9)の血中濃度を施行することは必須と考えます。レセプト上も、以前ご紹介した「レセプトコメント」を備考欄に記入すれば問題はありませんでした。抗認知症薬と違って、一旦改善すればビタミン補充療法を続ける限り、認知機能を維持出来ています。

ビタミンの種類でも効用、副作用の面で大きな違いがありました。

まずはビタミンB1についてお話しします。一般に、ビタミンB1欠乏症は、脚気などの末梢神経障害、脊髄症~ウェルニッケ脳症などの中枢神経障害を引き起こすことが知られています。今回、ビタミンB1欠乏症に認知症患者の共通した臨床症状は、不安と不穏という陽性症状ということがわかりました。今まで前頭側頭型認知症としてピックセット(ウインタミン朝4mg夕6mgとフェルガード100M粒4錠)を投与していた患者に、アリナミンFなどのビタミンB1補充療法を行うことでウインタミンを投与せずに陽性症状を軽減~完治することが出来たのは大きな収穫と言えます。しかし、アリナミンFなどの合成ビタミンB1を長期(3か月以上)に投与していると多動や興奮状態となり、介護がしにくくなることがわかってきました。アリナミンF朝25mg夕25mgで開始した治療を、3か月経過してアリナミンF朝25mgのみに減量しても多動や興奮が治まらず、多くの場合、アリナミンFを中止せざるを得なくなりました。また、食欲低下や心不全が悪化する場合もあり注意が必要です。食事量が低下して血中アルブミンが低く低栄養状態である場合には、ビタミンB1補充をすることで更に体内の栄養を分解するためるい痩が酷くなると考え、ビタミンB1を含むエネーボを投与するようにしています。食事量が低下していない場合は、胚芽米(他に豚肉、ウナギなど)でビタミンB1を補充するように栄養指導しています。施設入所している場合には、ハウス葉酸米(昔で言う強化米)を炊飯の際に投与して貰うように指導しています。ビタミンB1欠乏症の合併率は非常に高く、現代人が白米を食べるようになり、誰にでも起こるポピュラーな病気になったのでしょう。14歳のADHD患者にも見られたのは驚きでした。

次にビタミンB12についてお話しします。ビタミンB12欠乏症は、胃癌や胃潰瘍などに対して胃全摘を行った場合や、萎縮性胃炎に罹患している場合にビタミンB12吸収障害を来たします。巨赤芽球性貧血の所見を呈さず、認知症状のみを呈する患者が多いことに驚きました。吸収障害の場合は、メチコバール内服では治療出来ず、シアノコバラミン筋注が必須です。しかし、多くの場合は、ビタミンB12を含む肉や魚介類などの食事量低下が原因であり、メチコバール内服で治療出来ることも少なくありません。吸収障害と摂取量低下の区別はつきにくく、シアノコバラミン筋注とメチコバール内服を併用して血中濃度を測定して補充療法が上手く行っているかを確かめています。ビタミンB1欠乏症の治療との大きな違いは、副作用が全くなく、補充療法が上手く行けばかなりの確率で認知機能回復が見込めることです。逆に言うとビタミンB12欠乏症を見逃すことは罪が深いと言えます。認知症患者全員にビタミンB12血中濃度を施行して、抗認知症薬を投与する前に内科的補充療法で治療可能な認知症を治療すべきなのです。

最後に葉酸についてお話しします。葉酸欠乏症は、ビタミンB12欠乏症と同じような機序で巨赤芽球性貧血の所見を呈すると言われています。しかし、巨赤芽球性貧血の所見を呈さない場合も、多く見受けられます。葉酸欠乏症はフォリアミン内服で治療を行いますが、補充療法を行っても明かな認知機能改善はありませんでした。葉酸は細胞分裂に関わっており、欠乏により細胞分裂不全が起きます。成人になっても神経細胞分裂は起こっています。長期にわたって欠乏していると神経細胞分裂が起きなくなり、脳萎縮に繋がると考えています。従って、補充療法を行っても直ちに認知機能回復が起こるものではないのでしょう。葉酸欠乏は動脈硬化の原因にもなります。高血圧や糖尿病など動脈硬化因子がないのに動脈硬化病変が起こっている場合には、葉酸欠乏症の可能性があります。葉酸欠乏症は、放置すると悪化因子になりますが、補充療法を行ってもすぐに改善はしないというのが特徴と言えます。葉酸補充療法による副作用は食欲低下数例以外認めませんでした。

ビタミンB1、B12、葉酸(B9)欠乏症を認めた場合、できる限り食事療法を優先すべきです。食事療法が困難な状態で炊飯が可能な場合は、ハウス葉酸米を炊飯前に炊飯器に投入することを指導して下さい。安価であり施設などでも簡単に実施できます。薬物療法を試す場合は、ビタミンB12補充療法以外は副作用があることを頭に入れて治療を行うべきです。以上、筆者がこの6か月で得た知見を纏めました。皆さんのビタミンB群補充療法の参考になれば幸いです。





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Last updated  Jun 18, 2023 04:22:53 PM
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