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2024/02/09
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カテゴリ:朗読




菊池寛の『入れ札』を聴いてみませんか。
代官を斬り殺した国定忠治が
赤城山から榛名山を越え、信州へ落ちて行く様子を描いていますが
主役は忠治でなく、「くろすけ」という落ち目の兄貴分
出世競争に負けたサラリーマンの悲哀を見るような面白さがあります。

11人の子分を連れて逃走する忠治は
少人数で逃げ延びようと決意する。
意中の3人を自分で決めると
他の子分から不満が出ることを懸念して
自分から言い出すことができない。

子分たちの言い分を聞くうち、忠治は「入れ札」を思いつく。
連れて行くのにふさわしい子分の名を子分たちに書かせ
札数の多い者から3人を連れて行くことにしたのだ。
忠治は自ら選ばずに優秀な子分を選ぶことができるのである。

子分達に異存はないが
一番古参の子分『稲荷の九郎助』は複雑だ。
表向きは「あにい」と立てられているものの
他の子分たちから軽んじられているのは自分が一番知っていた。

自分に一票入れてくれるのは古顔の弥助くらいだろう。
弥助は好意的な微笑を自分に送ってきて
九郎助の名前を書くという意思を見せた。

九郎助が誰の名を書くかぼんやり考えていると
自分の後輩でありながら
忠治から信任され人望もある浅太郎に
『早く廻してくんな!』と叱責された九郎助は
掟を破って『くろすけ』と自分の名を書いてしまう。

入れ札の結果は、浅太郎に4枚
知恵者で軍師の役割を担う喜蔵に4枚
大力の嘉助に2枚、そして九郎助に1枚だった。
忠治に付いて行く3人は忠治の期待通りの結果となる。

弥助は裏切ったのである。
九郎助は自分の名を書いた浅ましさ
卑しさがひしひしと身に沁みる。

忠治と分かれてそれぞれに落ちていく子分達だが
九郎助を追ってきた弥助は
『親分があいつらを連れて行くのは納得できねえ
11人のうちでお前の名前を書いたのはこの弥助1人だと思うと
奴等の心根がわからねえ』と言う。

それを聞いた九郎助は脇差さえ掴んだが
弥助の大嘘を咎めるには
自分の恥を打ち明けなければならないことに気付き
嘘を付いている弥助でさえ
九郎助のしたことに気付いていないと思うと
自分の卑しさがなおさら情けなくなる。

国定忠治の任侠物語とはいえ
この物語は落ち目の兄貴分である九郎助が主役。
誰も自分の価値を認めてくれない淋しさと悔しさ。
そして、自分の浅はかさに苦しむ姿
そういう心理って、誰もが一度は経験していると思う。

九郎助のやったことはバカだなあと思うけど
何か憎めないものがあり、好きなお話です。


 

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Last updated  2024/02/09 03:08:12 PM
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