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シェフの落書きノート

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2007.09.02
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カテゴリ:ひとり言…
「創作料理をなぜ作らないのですか?」
そんなことを聞かれることも多い…。

別に創作もトラディショナルもあまり意識していない。

ただ…
東京には、特に『創作』という文字が入った店の看板はあふれている。

つまらない…。
何故かそう思う。

無理な創作…。
素材の相性の組み合わせ自体に無理があったり…
自然体から遠く離れていたり…。

美味しくないと感じるお店が多いせいか…足を運ぶに気にならないことが多い。

何故、美味しくないのか?
それは、奇をてらいオリジナルと称する料理のことばかりを考えていて…
腕を磨くことを忘れた料理人が多くなったのではないかと思う。


食品業者さんの多くが嘆く…
「偉そうなことばかり言ってるけど…。たいしたことないんだなぁ~。魚も肉も自分でおろせないんだから…。野菜だって切って袋に入ってるやつを使ってるんだよ。ソースだってレトルトの出来てるやつを温めてさ…」

「そんなお店ばかりじゃないでしょ? 僕の知り合いには、そんな奴いないよ」

「そりゃ~。シェフがそうだから、そういう人が集まるんだよ。実際のところ、そんな人が多いんだよ~。だから儲からないのに仕事ばっかり増えちゃって困るよ~」
…そういう声が本当に多くなった。
それがすべて『創作』の看板をだしている訳では勿論ない。

時代は、楽をして、儲けられれば…それが良い。
その流れは、決して止めることは出来ないと思う。

なぜなら、本物を求める人が少なくなったから…


話がそれたので、元に戻します…

創作そのものは、オリジナリティーがあって良いものだとおもう。

そこに、しっかりした土台があって、その上に組み立てられるものなら…
そこに耀く光を感じることが出来るし、そこに魅了される。

次に行った時にどんな料理が出てくるのか…
そんな期待感も膨らむ…。

奇をてらう『創作』が多いせいか、逆にしっかりしたトラディショナルのほうが新鮮だと思って、僕はその傾向の料理を作ることが今は多いのかもしれない。

若かった頃の僕は、創作系を重点に作っていた。
フォアグラを春巻きにしたり…
フカヒレをソースにして、グリエにした魚に添えたり…。
和や中華やオリエンタルのエッセンスを取り入れたりしていた。


今は、たまーに自然なかたちで創作を作るが、基本や料理の土台は外さない。

今、やっていることは季節や旬の素材の組み合わせでスタンダードを作ること。
これは、不思議と面白い。

季節の魚などには、必ずその魚にあった季節の野菜がある。
無理に季節はずれの西洋野菜なんて使わない。

一応、イタリア料理の看板をだしているから、パプリカ、ズッキーニ、茄子、バジルなんてのは、一年中の間、冷蔵庫に用意してあるが、それが必ずしも良いとも思わない。

音楽の世界でもスタンダード・ナンバーというのがある。
沢山の人がリメイクしたりして、スタンダードを演奏する。
いうなれば名曲中の名曲なのだろう。

料理のトラディショナルは、その土地に育んだ素材を使って、自然に生まれた料理だと思う。
自然の中の素材が、自然に人の知恵と工夫によって生まれたもの。

だから、美味しい。
そう思う。
そんなすごいものを最大限に使わない手はない。

自分の我もプライドも関係ない世界。
あるのは自然の力と先人達の知恵と工夫。
それに自分のエッセンスをほんの少し加えれば十分だと思う。

自然体であること…
その自然体を維持することは、時のサイクルが加速している現代社会において、難しくもあるが、しなければならないことのような気がする。

恐らく…
完成なんて永遠にないと思う。

創作もトラディショナルも…
そんなことは、僕にはどちらでも良いことなのだと思う。
美味しさにそんなカテゴリーやジャンルは、必要ないと思うから…。



『創作○○○』そんな名前は…
「今の時代は、創作って名前をつけると繁盛する傾向にありますよ…」
なーんて…アホな飲食コンサルタントのアドバイスがあったのかもしれない。

自分で本当にやりたことをやったほうがいいのに…ね。








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Last updated  2023.10.15 23:36:41
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