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シェフの落書きノート

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2009.12.09
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カテゴリ:美味しいお話
「赤大根な!皮をむいたらアカンでぇ~!」
元気なしわがれ声が僕の耳に今も残っている。

京都から『聖護院』が送られてきた。

「お客さまが美味しいって喜ばれてますよぉ~!ありがとうございます!」
…と、僕も電話でつい大声で叫んでいる。

「はぁははは~」
いつもお礼を伝えると何も言わず笑っている。

携帯に電話をする度に必ず畑にいる。

「今な!畑だからな!なにがいいかな~。サラダものも入れとくか?ちゃ~んと彩りも考えてな…。入れとくわ!」
最初に野菜をお願いした時にそう言っていた。

送られてきた箱の中を見ると、まるで皿の上にのるイメージができているようだった。

「カブの葉っぱもつけとくかぁ???」

「つけといてください!一緒につけあわせにしたりサラダにしたりしますので~!」

「ほうか!よっしゃ!」

野菜を切り、水をきったり、火を入れたりして調理している時。
おじさんとやりとりした、こんな会話が耳の奥で何度も何度もリフレインしている。

僕は、そんな幸せな時を過ごしている。

初めて送られてくる野菜には、ちゃんと小さく名札がついている。

「おまえ…最高の人に大事に育てられたんだな~。良かったな…」
そう自然と野菜に心で話しかけている自分がいたりする。

聖護院大根

聖護院かぶら

綺麗に丁寧に洗われた野菜たちは、いつもぴかぴかに輝いている。

「お店にこの野菜を食べにきてください」
…とか、そんなありきたりな宣伝文句も言うつもりも毛頭ない。

「何も言わなくても、わかる人にはわかる」
この野菜たちと接していると自然とそう思えてくる。

『この間、ここで食べた野菜が本当に美味しくて、また来ました』
お客さまにそう言わせるだけのパワーは十二分に持っている。

畑で大きなしわがれ声で…
「なに送ろうかな~! そや!あれ送っとこう!」

そう怒鳴っている人が、初めて送ってくる野菜にキチンと小さく手書きで名札をつけて送ってくれる。
そんな心配りの人が大切に育てた野菜。

そんな野菜を使わせていただいているという幸福感からくる僕の自慢話。

まだまだ、日本は豊かな国
捨てたもんじゃないぞ!

胸を張ってそういいたくなる。



こんな野菜たちと出会った頃のお話。

いつも、いつも…
あたふたと…

あ~でもない…
こ~でもない…
困ったことは、山より高くあるかのように。


ふと気がつくと…




でもね。

本当は…


そんな小さなことなどどうでもいいんだよ。


だから、僕が送られてきたんだろ?



大地からの恵みが僕にポツンと呟いたのでした。











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Last updated  2009.12.09 05:23:40
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