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2012年12月27日
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カテゴリ:政治問題
 日本興亜損保の社長を務め、経済同友会の終身幹事でもある品川正治氏は、月刊誌「世界」に「戦後歴程」というセッセイを連載しているが、彼が現役で勤務していたころは社名を「日本火災」といい、アメリカでも事業展開していて、ある時クライアントの倉庫会社の倉庫に泥棒が侵入し誤って天窓から床に落ちて大けがをした。これが日本なら泥棒が逮捕されて終わる話だが、この時、その泥棒は自分がケガをしたのは倉庫会社が天窓をあけっぱなしにしたせいだ、と被害者(?)の倉庫会社を訴え、ケガの治療費から生活費までを請求して、双方弁護士を立てて裁判で争った結果、倉庫会社の敗訴となったため、その倉庫会社の人が損害保険を請求に来たという、ユーモアだかなんだか分からないエピソードを紹介した後、アメリカとアメリカ政府の実態について、次のような見解を述べている;


(前 略)

 大きくなった損保は、それだけ各企業のアクセルに匹敵するブレーキ役を果たしているだろうか。全国にくまなく代理店というセーフティネットを張ることができているだろうか。違う。利益を上げるため効率の改善を実現することに全力投球しているのが現状だ。代理店をもはやセーフティネットと見ていない。代理店の効率、ひいては営業社員の効率を上げるため、小さな代理店、過疎地で村民の意見をすくい上げ、中央に伝えるというような仕事は遠慮なく切り捨ててしまった。小さな代理店は廃業するか、大きな代理店に吸収される以外の道はない。私の社長時代と比べると、代理店の数は、半分はおろか3分の1にまで減ってしまった。

 日本の損保が果たすべき大きな社会的役割は、すでに全く無視されてしまった。

 日本の損保は、かつて長総の発売を機に金融資本化の道を進もうとしたが、バブル崩壊、低金利、株価暴落で長総そのものが不良債権化したために頓挫した。いまや大合併で銀行・生保・信託・証券に伍していけるようになり、再び金融資本の道を歩もうとしている。しかし証券会社は野村置券をのぞいて三大銀行の傘下に入った。これからどう闘い、どこに活路を見出していくのだろうか。

金融資本帝国アメリカ

 奇妙なことに、2008年の9・15のリーマン・ショックの金融崩壊の際、それまで「政府は手を出すな、すべて市場にまかせておけ」と言っていたアメリカの金融資本は、翌日のAIGの破綻を契機に、政府の救援にすがってさっさと立ち直りだした。あのゼネラル・モーターズ、世界一の自動車会社も、政府の管理下で業績を回復しだしたが、これもGM傘下の金融資本の問題といって過言ではあるまい。公的支援に救われたと一般に言われるが、果たしてそうだろうか。政府そのものが、金融資本に逆らう力を失っているというのが真実に近いのではないか。金融資本帝国の姿を如実に明らかにしただけではないのか。

 アメリカは、経済政策さらには軍事・外交政策の最高ブレインでさえも、民間の大銀行、大企業出身者である国、回転ドアを通るように自由に政府と民間企業を往ったり来たりしている国である。リーマン・ショックで金融恐慌を知ったわれわれは、翌日の「AIG・ショック」で、金融資本帝国としてのアメリカを知ったのである。

 この意義は極めて大きい。アメリカの意向を汲む、アメリカの指示に従う、アメリカには逆らえない……と、日常聞かされ、読まされて60年余が経った。その言葉はいまも、沖縄の基地問題やオスプレイ配備の問題、さらには日中間の尖閣問題、日韓の竹島問題、さらには脱原発、TPPと、挙げるとキリのないほど聞かされている。そのどれもが国民の生活、生命に関わる大問題であるにもかかわらず、政治家・官僚から返ってくる言葉は、「アメリカが承知するだろうか」「アメリカにはたてつけない」である。そのアメリカが金融資本の意のままになる国であるとすれば、日本国民はそんな説明を納得して聞き得るであろうか。

 日米安保条約は、日本を守ることが第一条件になっていると考えていいのか。「同盟の深化」とかまびすしく言われるが、金融資本帝国アメリカと日本国民の進むべき道が一つになることなど、あり得るのか。

 私は損保業界に身を置いた人間として、日本の金融資本が日本の国家を乗っ取る力を持っているとは思えない。またそうなれば国民に幸せをもたらせるとも思わない。同様に、日米安保を「深化」していけば、日本の金融資本、産業資本の利益になるとも思えない。アメリカと組んで一部の投機家が儲かることはあるだろう。しかしその一部の投機家とは、この国の経済をパニックに負いこみ、財政を破綻させ、国民生活を崩壊させる役割を引き受けて、ようやくおこぼれを頂戴する人たちである。日本の金融資本家、その従業員、財界の首脳、各企業の経営者、その従業員、それらの人たちが、それに加担することは到底あり得まい。

 訴訟社会のことはすでに述べた。アメリカの民主主義は、すでに私の社長時代、ワシントンに拠点を持つ4万人のロビイストに支えられていた。民間の人たちが所有する銃は2億丁、それらの銃で殺される人は年間3万人を超えていた。日本の火災は大部分が失火に因るが、アメリカでの火災は8割まで放火である。

 そして、アメリカでもウォール街を占拠した人々はいっせいに問い出した。その99パーセントの人びとの問いに答えてほしい。毎週金曜日に首相官邸を埋めつくす人々に答えてほしい。沖縄の人々の怒りに答えてほしい。


月刊「世界」2012年12月号 78ページ「戦後暦程」から引用

 こういう記事を読むにつけても、日本はTPPには参加するべきでない。アメリカ政府を食い物にした金融資本が次の食い物を探して海外に毒牙を向ける、これがTPPの本質だ。関税を撤廃すれば貿易が活発になるなどというのは欺瞞で、アメリカの金融資本が日本やその他の国の富みを収奪するために、それぞれの国の規制を撤廃させるだけのことである。そして、日本やその他の国の政府が法律を盾に自国を守ろうとすると、アメリカの投資会社はその政府を訴えることができ、訴えられた時の裁判は非公開で行われるなどという、非民主主義的制度である。わが国でTPP推進に尽力する人間というのは、日本が朝鮮半島を植民地にするときに日本政府の手先となって便宜を図った朝鮮人で、今では「親日派」と呼ばれ、その意味するところは「売国奴」である、そういう立場に相当する人間がTPPを推進している。彼らの暗躍で万が一、日本がTPPに参加する羽目になり、国土が荒廃した後の何十年後かには、彼らの一族は「売国奴」のレッテルが張られることになろう。






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最終更新日  2012年12月27日 18時49分57秒
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