従軍慰安婦問題を象徴する「少女像」がドイツに設置されたと、3月24日の「週刊金曜日」が報道している;
今月8日、欧州では初となる「慰安婦」少女像がドイツ南部で設置された。場所はバイエルン州レーゲンスブルク近郊にある私立公園「ネパール・ヒマラヤ・パヴィリオン」内の一角。韓国・水原(スウォン)市からの50人ほどを含むおよそ100人の参席者たちの見守る中、除幕式が執り行なわれた。
「日本では像の設置を単純に反日行為だと受けとる人がいますが、これは『慰安婦』問題を通じて戦時下のあらゆる性暴力に反対し、平和の大切さを伝えるものです」
そう語るのは水原市「ドイツ平和碑推進委員会共同執行委員長」のファン・ウィスクさん。昨年、姉妹都市であるフライブルクでの像設置を日本からの横やりで断念した。今回は韓国系住民の手を借り準備して来たが候補地が二転三転、ぎりぎりのタイミングで当公園に決定したという。
この日は生存者のアン・ジョムスンさん(88歳)も立ち会った。14歳の時に「慰安婦」として連行された経験を持つ。
「日韓合意で『慰安婦』問題が解決なんて私にはとうてい受け入れられない。お金よりも誠意ある謝罪です。いまでも私たちのことを嘘つき呼ばわりする日本人がいるのもたまらない」
と像が世界に向けて放つメッセージに期待を寄せる。
この像設置を受けて在ミュンヘン日本国総領事も動いた。13日、公園の所有者であるヘリベルト・ヴィルー氏と面会し、像の撤去を要求した。ヴィルト氏に手渡した日本政府の立場を説明する書面には「(日韓合意に基づき)46人を対象に1000万円ずつ支払われ、支払うつもりだ」とあるが、これだとすべての生存者が受け取る意思があるかのような誤った印象を与える。日韓合意を批判し受け取り拒否を表明している女性たちも実際いるからだ。なおヴィルト氏は像撤去に応じる考えは今のところ示していない。
<矢嶋宰・フォトジャーナリスト>
2017年3月24日 「週刊金曜日」 1129号 6ページ「金曜アンテナ-ドイツで『慰安婦』少女像設置」から引用
思いやりのカケラもない安倍外交のつまずきが、こういうところにも如実に表れていると言えます。河野談話を発表して以降の歴代政権は、史実を否定したり疑問視するような素振りを見せることはしませんでしたが、安倍内閣の場合は「強制連行を示す公文書は発見されていない」とか「河野談話を再検証する」など、慰安婦問題被害者とその支援グループの神経を逆なでするようなことばかりやってきたことを考えると、アメリカやヨーロッパにも少女像を設置することは有意義であり、日本政府には像の設置に反対する正当な理由はないものと思います。