【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

フリーページ

2018年02月04日
XML
テーマ:ニュース(99462)
カテゴリ:ニュース
今から95年前の関東大震災の時に、朝鮮人が暴動を起こすという流言飛語が飛び交い多くの朝鮮人が自警団や警察、軍隊などによって虐殺されたのであったが、あれから95年経って再び流言飛語が復活しつつあると、ライターの加藤直樹氏が1月26日の「週刊金曜日」に書いている;


 1923年の関東大震災時に虐殺された朝鮮人を追悼する式典に、歴代の東京都知事が追悼文を送ってきたにもかかわらず、小池百合子都知事は昨年、これを取りやめた。そのきっかけとなったのが、自民党の古賀俊昭都議による都議会での一般質問だったことを、『東京新聞』(2017年8月24日付)が報じている。古賀都議が、追悼碑の碑文にある「6千余名」の朝鮮人が殺されたという数字が「根拠が希薄」だと批判し、小池都知事に「追悼の辞の発信を再考すべきだ」と求めたというのだ。

 だが都議会の会議録を読むと、古賀質問のもっとも異様な部分はそこではない。彼は、朝鮮人たちは「不法行為を働いた朝鮮独立運動家と、彼らに煽動されて追従したために殺害された」のだという特異な認識を語っているのだ。そしてその根拠を、1冊の本に求めている。「私は、小池知事にぜひ目を通してほしい本があります。ノンフィクション作家の工藤美代子さんの『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』であります」。

 工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』は、小学館の雑誌『SAPI0』での連載をまとめたもので、09年に産経新聞出版から刊行された。工藤氏は、何の罪もない朝鮮人が殺されたというこれまでの認識は「途方もない謀略宣伝」であり、真相は「震災に乗じて朝鮮の民族独立運動家たちが計画した不穏な行動」への自衛反撃だった、と主張する。つまり、「朝鮮人暴動」は流言輩語ではなく事実だったというのだ。

 もちろん、そんな馬鹿げたことを主張する歴史学者は1人もいない。内閣府中央防災会議の専門調査会が08年にまとめた「1923関東大震災報告書【第2編】でも、自警団や軍による虐殺が詳細に記述されている。

◆直後の流言記事が根拠

 工藤氏の主張を成り立たせているのは、紛れ込ませた多くのトリックだ。

 「朝鮮人暴動」が事実だったという証拠として工藤氏が挙げるのは、震災直後の新聞記事である。「不逞鮮人2千が腕を組んで横行」「2百人の鮮人抜刀して警官隊と衝突」といった記事が無数にあるというのだ。

 なるほど、震災直後にこうした記事が氾濫したのは事実である。だがそれは、在京の新聞社の多くが壊滅し、機能していた社もまともな取材を行なえない中で流言を垂れ流す報道が行なわれた結果であった。当時の報道の混乱はひどいもので、「名古屋も壊滅」「伊豆大島沈下」「山本首相暗殺」といった記事も残っている。「朝鮮人暴動」も「伊豆大島沈下」も全て虚報であったことは、震災のしばらく後には常識となる。内務省が1926年に出した震災総括『大正震災志』では当時の流言記事の氾濫を振り返り、「朝鮮人暴動」記事を含むいくつかの記事を例として挙げている。

 そもそも、こうした記事はそれ自体が流言研究の対象となってきた。工藤氏がそれでも、これらの記事は実は事実を伝えていたのだと主張したいのであれば、何らかの形でそれを論証しなければならないはずだ。だが工藤氏は何の論証もせず、「書いてあるから事実」とばかりに列挙していくだけだ。

 そもそも、工藤氏が主張する朝鮮人独立運動家による「不穏な行動」なるものは、内務省、警視庁などによって否定されている。司法省は「(朝鮮人が)一定の計画の下に脈絡ある非行を為したる事跡を認め難し」と報告した。ところが、工藤氏はこの矛盾を「日本政府が朝鮮人暴動を隠蔽したのだ」という主張によって解決する。

 彼女が示す唯一の証拠は、後藤新平内務大臣が「朝鮮人暴動」隠蔽を告白したという「証言」だ。それは、後藤自らが書き残したわけではなく、当時は警視庁官房主事であった正力松太郎が、後藤からそう聞いたものだという。さらに正力が書き残したのでもない。正力からそれを聞いたある人物が、工藤氏に教えてくれたというのである。ベースボールーマガジン社の創業者、池田恒雄氏だ。では池田氏とは誰か。何と工藤美代子氏の実の父である。だが彼女は、この本の中で、そのことに一言も触れていない。そんな話が「証拠」になるだろうか。

◆呆れた”トリック”の数々

 この本にはこのほかにもあきれるようなトリックが散りばめられている。たとえば「テロ集団」の東京テロ計画の全貌を語り、その典拠として朝鮮総督府の治安官僚が書いた『朝鮮民族独立運動秘史』を掲げるのだが、同書にはそんな記述は全く存在しない。あるいは”横浜市内は朝鮮人暴動が起きて危険だから行くな、と言われたが、振り切って行ってみたところ実際に目撃したのは朝鮮人暴動ではなくて自警団の暴力だった”という内容の手記から、前半だけを引用して”横浜市内で朝鮮人暴動が起きていた”証拠にする。その上、新聞記事や手記の引用でも、都合の悪い部分は(略)と示すこともせずにこっそり切り刻む。詳細は、私と友人たちでつくるチームが開設した二つのウェブサイト「『朝鮮人虐殺はなかった』はなぜデタラメか」(URL http://01sep1923.tokyo/)、「工藤美代子/加藤康男『虐殺否定本』を検証する」(URL http://kudokenshou.bigspot.jp/)をご覧いただきたい。

 この本をめぐっては、刊行後も驚くべき展開が続いた。14年にWACから『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』と改題して再刊されたのだが、なんと著者が別の人間に交替したのだ。”新しい著者”は加藤康男氏。工藤美代子氏の夫である。

 再刊に際してタイトルが変わるのは珍しいことではない。著者のペンネームが代わることもなくはない。だが、著者自体が交替するなど前代未聞である。その理由を加藤康男氏は「取材・執筆を共同で行ってきた」し、自分が「大幅に加筆、修止した」からだとあとがきで書いている。奇妙な主張だが、新版373ページのうち、加筆されたのは7ページだけだ。

 こうして見てくれば、この本が「ジンギスカンは源義経だった」レベルのトンデモ本であることが分かるだろう。だがトンデモ本であっても、この本は状況の中で悪質な役割を果たしてきた。今やネットには、震災直後の流言記事の画像を貼り付けては「これが真実だ!」とデマを流すネトウヨがあふれている。90数年後の日本に「朝鮮人暴動」の流言を復活させてしまったのだ。また、横浜市の中学生用副読本の朝鮮人虐殺についての記述を自民党市議が問題にして全て回収させた13年の事件の際は、『産経新聞』は「(虐殺事件を)再検証したノンフィクション作家」として工藤氏を登場させ、コメントさせている。

 小池都知事の追悼文送付取りやめ問題については先述したとおりだが、小池都知事自身が、虐殺はあったかどうか分からないという趣旨の発言を繰り返している。『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』が09年末に刊行されてからたった8年で、都道府県レベルの首長がそんな荒唐無稽なことを言うところまできてしまったのである。


かとう なおき・ライター、編集者。著書に「九月、東京の路上で-1923年関東大震災ジェノサイドの残響」(ころから)など。


2018年1月26日 「週刊金曜日」 1169号 42ページ「工藤美代子著『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』の真実」から引用

 この記事は工藤美代子著『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』がデタラメばかりで構成された、箸にも棒にもかからない馬鹿げた著作であることを完璧に証明している。こういうくだらない本を根拠に都知事に追悼式への文書送付を中止させた古賀俊昭都議は恥を知るべきであり、都議会は都知事の追悼文送付を支持する決議を行なうべきだ。それでも小池知事がイヤだと言うときは、知事に代わって都議会議長が追悼文を送って朝鮮人犠牲者に対する追悼の意を表明するべきだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2018年02月05日 19時26分01秒


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

佐原

佐原

お気に入りブログ

今日は家で一人すき… New! 夢 みるこさん

コメント新着

 捨てハン@ 潰れそうな新聞なら東京、朝日、毎日が挙がるかなぁ >全国紙は世論のありかを明らかにし、国…

© Rakuten Group, Inc.