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2020年02月14日
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カテゴリ:ニュース
ヘイトスピーチを法律で禁止しても「言論の自由」を否定することにはならない。その理由は、何か? 早稲田大学准教授の秋葉丈志氏は、8日の朝日新聞で次のように説明している;


 全国で初めて刑事罰を盛り込んだ川崎市の差別禁止条例は、一定の抑止効果が期待できます。ただ、条例だけで直ちにヘイトスピーチがなくなるわけではありません。

 市は審査会の判断を受けて中止を勧告、命令、捜査機関への告発という手順を踏みますが、被害者はその間、じっと耐えなければなりません。今後決まる審査会の委員の顔ぶれ次第では、実効性が骨抜きになる恐れすらあります。

 ヘイトスピーチを法律で規制しようとすると、日本ではいつも「表現の自由を侵害する」という反対論が出ます。憲法で実現が求められる権利のうち「自由権」を優位と考える学説が強いからです。

 しかし、憲法には法の下の平等や男女平等、個人の尊重や幸福追求の権利を保障する規定もあります。政府はこれらの権利の実現に向け、積極的な役割を果たすべきでしょう。平等や個人の尊厳を否定するヘイトスピーチは、相手の言論を封じる目的で行われる以上、保護に値する言論と言えず、その規制は必ずしも憲法違反にはあたりません。

 国連人種差別撤廃委員会は再三、日本政府にヘイトスピーチの法規制を求めていますが、政府は「表現の自由」の観点から留保しています。私には政府が規制をしない言い訳として、表現の自由を使っているようにしか見えません。ヘイトスピーチをする側とマイノリティーの被害者との間には、圧倒的な力の差があります。「被害者は言論で対抗せよ」と言っても、簡単な話ではないのです。

 こうした力の不均等を理解するには、歴史を知らなければなりません。日本と朝鮮半島の関係や在日コリアンをめぐる差別の歴史を学ばずして、ヘイトスピーチ問題は理解できません。大切なのは学校教育ですが、残念ながら、今の内容では不十分です。

 何よりも看過すべきでないのが、公的な立場にある人の差別的な発言です。

 米国でもトランプ大統領が、女性、移民、イスラム教徒らに対する差別発言を繰り返してきました。2017年に起きた白人至上主義者が反対派に車で突っ込み死傷者が出た事件では、白人至上主義者の暴力を批判せず、「両者に非がある」と人種差別を認めるような発言をしました。

 「法的に問題がないから」として、政治家や公務員といった公人が差別的な発言をすれば、深刻な影響を社会に及ぼします。発言を聞いた人々が「自分たちも公然と差別してもいい」と受け止めるようになるからです。逆に「差別はいけない」と語れば、抑止効果が生まれます。

 権力や権威を背にした公人は、教室の先生のような存在です。法律に違反しなくとも、公人の差別的な発言は政治、社会、道義的に許されないのです。
(聞き手・桜井泉)


<あきば たけし> 1975年生まれ。 11歳まで米国で育つ。専門は法社会学。著書に「国籍法違憲判決と日本の司法」。


2020年2月8日 朝日新聞朝刊 13版S 15ページ 「耕論 ヘイトの境目−公人の差別的発言が助長」から引用

 単なる嫌悪の表現が、どのようにして法律で規制するべき「ヘイトスピーチ」になるのか。それは、この記事が指摘するように、嫌悪の表現が圧倒的多数派から少数派へ向けられる、という条件が必要になります。圧倒的多数派が「嫌悪の表現」を発したときは、社会はその表現に煽られてターゲットになった少数派を虐殺するという極端な歴史を我々は体験しているのですから、その教訓を私たちは忘れてはならないと思います。逆に、少数派が圧倒的多数派を嫌悪するスピーチをしたところで、少数派はその少数なるが故に、何も出来ません。仮に個人的に暴走して暴力沙汰になったとしても、それは警察によって取り締まられ、刑事罰を科せられるというルールは既に存在します。したがって、この度、ようやく川崎市に刑事罰を伴う禁止条例ができたことによって、圧倒的多数派と少数派の「バランス」がようやく整ったと言えるわけです。





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最終更新日  2020年02月14日 01時00分07秒


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