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2024年05月23日
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テーマ:ニュース(99436)
カテゴリ:ニュース
日本政府が国会に諮ることもなく、独断で勝手に武器輸出に踏み切ったことについて、東京大学名誉教授の小野塚知二氏は9日の朝日新聞に、次のように書いている;


 政府は英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機について第三国への輸出を解禁した。賛否が割れるなか、憲法の精神を踏まえた議論が置き去りにされていないか。平和国家を掲げてきた日本は、武器輸出大国へと変貌(へんぼう)を遂げようとしているのか。(聞き手・小村田義之)


■「売らない」倫理的価値、大切に 小野塚知二さん(経済学者)

――日本が武器を輸出できる「普通の国」になるのは、「愚者の選択」だと指摘してきましたね。なぜ愚かだと思うのですか。

 「そもそも日本にとって望ましいのは、国民の消費が伸びて発展するという消費主導型の経済です。ところが、武器輸出は投資主導型で、国が投資し続け、赤字国債が増えて、一部の兵器企業だけがうるおう。健全な経済とは言えません

 「さらにいえば、抑止力が成り立つのは相手次第です。抑止力とは、相手がこちら側の力を恐れるか否かに依存しており、こちら側で一方的に決めることはできないのです。日本が軍備を増強したところで、中国や北朝鮮、ロシアが態度を変えるでしょうか。むしろ硬化して、安全保障環境が悪化するはずです

――武器移転の歴史を研究してきて、そう思うわけですね。

 「歴史的にみると、武器移転は金銭的対価を伴わず、貸与・無償供与という形をとることが多いことに気づきます」

――なぜですか。

 「相手国を支配下に置くためです。武器をいったん受け取ると、その武器を使う兵士の訓練や修理・補給など、ずっと縁が切れなくなる。このため最初は貸与であっても十分商売が成り立ちます。武器移転にはそういう側面もあるのです」

――武器によって守られる平和もあるのでは。

 「言うまでもなく、武器は破壊や殺傷を目的とした道具です。その手段が広まれば戦争の危険性も高まると考えるのが自然です。本来は国の目標や戦略があって、そのための手段が決まるはずですが、実際は武器の存在によって、逆に国の戦略が規定されてしまう」

――武器の拡散が実態を規定してしまうと。

 「たとえば米国社会で銃の危険を感じるのは、銃規制が緩いためです。規制の厳しい日本では考えられません。軍事でも武器が広まれば危険が増え、平和の条件が損なわれる。武器移転はできる限りない方がいい。素朴な理屈ですが、そこが基本線です」

――「軍事と外交は両輪」と言われます。

 「日本外交がそういう考えだとすれば悲劇的なことです。軍事に頼らず、言論、文化、民間外交も含めていかに戦争を回避し平和を維持するか。それを考えるのが外交術でしょう。はなから軍事に頼むだけなら外交の敗北だと思います

 「日本の周辺には残念ながら、兵士の生命の政治的・社会的費用が低く、人権も民主主義も言論の自由も制約された国があります。兵士の損耗が政府や軍の責任になりにくい国は、いくらでも兵力を投入できます。こういう相手とは『戦争をしない』という前提をまず立てた方がいい。この場合に、抑止力を強めれば安全保障が成り立つと考えるのは、何か錯覚しているか、国内向けに勇ましいことを言いたいだけです

――日本は武器輸出大国になると思いますか。

 「思いません。武器輸出は日本にとって最も不得意な分野です。戦後の日本は武器を輸出したり、訓練をしたり、修理・補給をしたりしてきた経験がなく他国の信用がありません。日英伊の次期戦闘機の共同開発も『対等なパートナー』と考えるのは幻想でしょう」

 「米国の存在もあります。次期戦闘機の開発でいい技術が出れば、米国が介入するでしょう。米国は日本に圧力をかけ『技術を出せ』という。英伊からみれば、日本は米国の介入を呼び込む『トロイの木馬』になる可能性さえあるのです」

 「日本が米国から自立して武器を開発生産し武器輸出大国になれるというのは妄想です。米国は安保体制下でそれを決して許さないでしょう」

――武器輸出の問題は、日本の国のありようにもつながっていますね。

 「実をいうと、今回の議論は世界の常識からはかけ離れています。軍事に関するものはすべて武器であり、殺傷能力の有無など関係なく輸出できるというのが常識なのです」

 「でもそれが議論になること自体、この問題が日本にとって重要であることを示しています。『武器を外国に売らない』ことが、大切な倫理的な価値になっている。それは憲法9条の普遍的な理想に基礎付けられているわけです。武器輸出で平和国家の価値を傷つけ、ボロぞうきんのように捨ててしまうなら、日本の安全保障に負の影響を与えます。そうであれば、閣議で決められるようなことではなく、少なくとも徹底した国会審議が必要でしょう」

    *

<おのづか・ともじ> 1957年生まれ。東京大学名誉教授・特任教授。経済史家。主な書籍に『経済史』『第一次世界大戦開戦原因の再検討』『日英兵器産業とジーメンス事件:武器移転の国際経済史』など。


2024年5月9日 朝日新聞朝刊 13版S 13ページ 「交論・武器輸出と『平和国家』

 この記事は、政治思想や平和主義というような観念論の専門家とは一味違って、日本が今さら戦闘機を売ると言っても戦後の80年のブランクがあるから、もはや戦闘機販売の「ノウハウ」を失っているのだから、「売る」と言ってみても「買う」と言ってくれる国は、もうないだろうとの「説」は、なるほどと思います。この狭い島国で、軍事基地を強化すれば脅威を感じる近隣の国々はそれを上回る軍備増強をするであろうことは明白で、そのような軍拡競争は「平和実現」よりは「偶発戦争の勃発」の危険性のほうがはるかに大きいと思います。そもそも、この狭い列島に50数基の原発を作ってしまったのだから、相手側を「ミサイル攻撃」をする気にしてしまった時点で、この列島は人が生活できる環境ではなくなるのですから、今からでも政権交代を実現して、「敵基地攻撃能力」などという無駄なものは撤回する方針に切り替えるべきであり、自衛隊は「専守防衛」に徹し、中国、ロシア、朝鮮民主主義人民共和国との間で地の利を生かした外交関係を確立し、太平洋の向こうのアメリカとはそれなりの距離を考慮した関係にしていくのが、これからの日本の進むべき「道」だと思います。





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最終更新日  2024年05月23日 15時32分38秒
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