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2024年07月09日
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テーマ:ニュース(99586)
カテゴリ:ニュース
皇位継承はこの先どうなっていくのか。思想家の天野恵一氏は、とある市民団体の機関誌6月号で、次のように述べている;


――天野さん、5月3日の有明防災公園での「2024年、第10回憲法大集会」、あの屋外集会に参加していたでしょう。反原発グループのテントで会った、顔を見たという人と、私たくさん会ったわよ。4月28日の、天野さんたちの「植民地支配責任を考える4・28沖縄デー集会」、あの文京区民センターにも参加していたようだし、かなり動けるようになってきているようね。本当によかったわ。

天野 イヤ、とても元気になったなんて状態ではないんだ。ビクビクしながら、やっと歩いているんだから、とても、とても。それでも、この連載は休まないで、ナンとか続けたいと、それなりの準備はしてきました。前回の予告通り「女性(系)天皇制」問題を、かつての論争的な論議をも紹介しながら、論理的に整理しておきたい。

――タイミング的にも〈愛子さんを女性天皇へ〉というムードのキャンペーンが、あるいは政治的動きが、このところ強まってきているから、ちょうどいいわ。よろしくお願いします。

天野 この問題、本当に長い長い論議の蓄積があるから、長い間、運動の仲間で「論敵」だった、亡くなってしまった加納実紀代さんとのやりとり、私の批判に即して紹介しますね。

 その前に、現状についても一言。この間、あなたの言う「ムード」あるいは「キャンペーン」についても、まずふれておきます。

 5月1日で、今の天皇は「即位五年」、マスコミはそれなりの賛美キャンペーンを展開した。その流れの中に、赤十字へ「就職」したとかいう「愛子」賛歌がしきりと浮上していますね。女性週刊誌も、結婚相手の男探しキャンペーンだけではなくなっている。「愛子」サマの日常の動きをクローズアップする報道が増えている。そうしたマスコミ報道の大きなステップになったのは、共同通信社の世論調査の結果です。4月28日の「東京新聞」から引くね。


 共同通信社は27日、天皇陛下の即位5年を前に、皇室に関する全国郵送世論調査の結果をまとめた。皇位継承の安定性について『危機感を感じる』が『ある程度』を含めて72%に上った。女性天皇を認めることには90%が賛同した。2021年に政府が継承制度の検討を先送りした判断に対し『支持する』は52%。『支持しない』は46%で賛否が拮抗した。

 見出しは、「皇位継承『危機感』72%・女性天皇90%が賛同」である。
 〈女性天皇90%が賛同〉がマスコミで大きくクローズアップされていく。「90%」という数字は、女性天皇賛成がより増大している事実を示しているわけですね(女性天皇賛成派は、以前から多数派と示されてきていた)。

 記事に戻りますね。

 女性天皇に賛成の理由は『天皇の役割に男女は関係ない』が最も多く50%。反対理由は『男性が皇位を継承するのが日本の文化にかなっている』が45%で最多。/皇族以外の男性と結婚して生まれた子が皇位を継ぐ『女系天皇』は『賛成』『どちらかといえば賛成』が計84%だった。/戦後間もなく皇室を離れた旧宮家の男性子孫を皇族にし『男系の男子』の天皇を維持する考えには、計74%が『反対』『どちらかといえば反対』とした。/女性皇族が結婚後も皇室にとどまって活動する『女性宮家』の創設は計77%が賛成した。


 「世論」なるものの多数派は、ハッキリと、男系男子の血のつながりが絶対の「国体論」に背を向けている。この「国体論」がかつて小泉純一郎首相が「女性天皇制」を制度としてつくりだそうと動いた時、ストップをかけた「右翼天皇主義」のイデオロギーであり、長く首相であり続けた安倍晋三の意思でもあったわけですね。本人が、どの程度、マジなそういった右翼であったかはともかく、この自民党を支えた「岩盤保守」のイデオロギーをたてる姿勢を、彼は殺されるまで崩さなかった。

――秋篠宮のところに子供が、それも男の子が産まれてしまった。この点も大きい。

天野 もちろん、それで小泉首相も、当面あきらめた。
 それと、もう一点忘れてはいけないのは、前の天皇・皇后は、安定的皇位継承をシステム化するためには、女性(女系)天皇に賛成しているという情報が、この時あれこれと、あふれていた、という事実です。小泉首相は当時の「両陛下」の意向をくんで努力していたのだというお話ですね。

――ナルホド、その点でも天皇・皇后と安倍首相は対立していたわけですね。

天野 マスコミの中に浮上した論議は、そういう構造でしたね。もう一点、この3~4月に18歳以上の男女3000人を対象に実施した調査について「東京新聞」の記事で確認しておきたい事があります。

 皇室への関心は『大いにある』『ある程度ある』加計67%で、前回20年の調査から8ポイント低下した。天皇制については『あったほうが良い』が『どちらかといえば』を含めて88%だった。

 人気を作りだしていかなければ、という「平成」の努力を継承しようとそれなりに意気込んでこの間動き回ってきた割には、「令和」天皇への関心は、やはり少しダウンしている。

――いいことじゃない。で、「女性天皇」で大逆転がねらわれているというわけ?

天野 そうスッキリといけるならば、こんな長い間、グズグズはしなかっただろうね。ただ女性天皇制へ向かう政治的障害は、支配者たちの世界でもかなり少なくなってきている上で、「愛子」キャンペーンが展開されだしていることほまちがいないね。『女性白身』(5/21号)の「世論調査でも『女性天皇容認』が90%! 紀子さま愕然! 岸田首相が『愛子天皇』極秘始動」を紹介します。

 まず、共同通信は世論調査の結果については、こういうふうに論じています。

 なかでも女性天皇を認めるという意見が90パーセントに上ったことは、紀子さまのみならず宮内庁内にも衝撃が走ったという。/「メディア各社が行う世論調査で、これまでも女性天皇への賛同は6~8割台でしたが、9割という高い数値で、かつ反対派が1割以下にとどまった調査結果はこれまで見たことがありません。/この結果は、宮内庁内からは『愛子さまの存在感が大きくなっているからだろう』という声があちこちから聞こえてきます」(皇室担当記者)/三重県と奈良県のご訪問時の国民へ寄り添おうとされるお声かけ、日本赤十字でのご精勤ぶり、初めての園遊会ご出席……。愛子さまがお務めに励まれるほど、より身近な存在として、親しみの感情を抱く国民が増えているのだ。/「9割という結果は『愛子天皇』を想定した女性天皇の誕生を期待する国民がより多くなっているということの証左なのでしょう。実はこうした機運の高まりと前後するように、”愛子さまが即位されるにはどうすべきか”と、政権上層部で検討が始まったというのです」(前出、宮内庁関係者)/岸田文雄首相は昨年、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」を発足させ、皇室が直面する問題を議論してきた。そして大型連休明けの国会では、減少ずる皇族数の確保など皇室典範改正に向けた与野党間の協議が本格化する。/こうした状況の中、岸田首相や自民党幹部の間で、「愛子天皇実現」への動きが、水面下で始まっていたのだ。自民党関係者は内情を明かす。/「4月下句に、岸田総理と麻生太郎副総裁の間で、”自民党として女性天皇制を打ち出せないか”という話し合いが持たれたというのです。同じタイミングで、総理の最側近で、懇談会の事務局長を務めている木原誠二幹事長代理が”極秘に動いている”という情報も広がっていて、より現実味を帯びた話だと見られているのです。

――岸田首相の支持率回復のチャンスを、そのように作りたいと画策しているという話ですね。

天野 そうです。長くなるから引用はしめるけど、この記事は安倍元首相だって実は生前<愛子天皇誕生に道筋をつけるべきだ>との言葉を残しているというエピソードをこの後に紹介し、愛子天皇ということになれば悠仁の即位は遠のき、国母になる予定だった「紀子さま」は、さあ大変というオチの記事です。

――秋篠宮家バッシングがねらいの記事なの?

天野 いや、それより、どこまで本当かよくわからないけど、岸田自民党の人気回復のための愛子天皇づくりが始まっているという点を強くアッピールしている記事ですね。

――フーン。ありうるの?

天野 本当に政策的な動きにまでいっているのかはわからないけど、人気取りのためなら、ナンデモアリの政権だから、本当の事かもしれないね。これから、「皇位継承」のルールを変えるのか変えないのか、変えるとすれば、どういう方向へ、という具体的な論議があらためて本格的にスタートしていくことは、間違いないでしょう。
 アッ、最初に予告していた、加納実紀代さんとのやりとりの件、まだ話してなかったよね。

――ハイ、すっかり忘れられてしまったかのようですが(笑)。

天野 せっかく、自分の発言や文章を読み直してきたから、大急ぎでいきますね。1992年の3月8日号の『週刊金曜日』で、彼女と対談しています。タイトルは「アブナイ『女性天皇制』論」です。橋本龍太郎政権下ですから小泉以前ですね。加納さんの基本的な主張はこうです。「女帝を容認した上で天皇制を批判するという二段構えでいかなければと私は思っています」。

 男系主義は女性差別、まず、これを解消する段階が必要という話。

――段階的に天皇制をなくしていけばいいという話ね。

天野 ソウ、天皇制から表面的な女性差別規定をなくすことで、天皇制の崩れが本当にスタートするのか? というのが私たちの反論。世襲制を前提で成り立っている憲法一章全体を問題にすべきだという論理。それと、私は「むしろ政府に批判的なサイドが、民主主義と人権の原理に無理に象徴天皇制を引き寄せようとし、政府の女性天皇政策による天皇制強化に引きずり込まれるという流れが心配です」と強調しています。対立が全面的かつストレートに出ている言葉をまとめて引用しますね。

 加納さんは、「アブナイところに踏み込まないで反天皇制をスローガン的に言っているだけでいいのか」。「天野さんの議論を聞いていると『社会主義革命が成立すれば女性は解放される』と言ったかつての左翼を思い出してしまう」。

――フーン、その時なんて天野さんは答えたの?

天野 これを引用するね。

 逆でしょう。『革命』を『女性問題』に入れ替えたような発想、とにかくそれが普遍的だという発想を問題にしているのだから。天皇制の抑圧構造や差別構造の間題全体の中に、女帝問題を入れて論議していくといったスタイルにすべきだと思います。

 この時も、私の批判は結局うまく伝わらなかった。

――読みたいな。それコピーしてください。

天野 いいですよ。もう少しキチンと書いた論文が「今、なぜ『女性天皇制』か--加納実紀代の女帝容認論批判」(『インパクション』99号〈96年10月)です。『日の丸・君が代じかけの天皇制』(インパクト出版会・2001年)に収められています。これの結びの言葉は以下の通りです。

 権力の政策に、うまく内側から介入して一挙に成果を手にしようという『運動』の発想を私(たち)は取らない。そういう『運動』をのみつくして天皇制共同体国家の幻想はふくらみ続けてきたのであり、そういう試みは、天皇制の弱体化とは逆の結果をもたらし続けてきたことは、歴史がよく教えてくれることである。/このように書いてきて、私は奇妙な気分に落ちこむ。こんなことをなんで私か加納に主張しなければならないのか。/だってこうした反天皇制(運動)への思想的視座は、ほかならぬ加納らに、私たちが教えられてきたことではないのか。/そうではありませんか、加納さん。

――なんか、せつない「批判」ね。

天野 ウン、親しく交流し続け、いろいろ教えられる関係でもあり続けたことは事実。細かい意見の対立は、いろいろあったけど。ただ、今は女帝容認論にはもっと強い批判の言葉を吐いて、ちゃんと討論することをすべきだったかナーと反省してます。

――むずかしいとこね。

天野 最後に、憲法学者奥平康弘さんの、ラディカルなフェミニストとして注目していた加納さんらの女帝容認論に出くわして、批判した強烈な言葉。私もズーっと後の時間に眼にしたものですが、これについても加納さんに、どう思ったかを聞けずに終わってしまったもの。これを紹介します。宮台真司との対話本『憲法討論ーー転換期を生きぬく力』(2002年12月刊)です。平凡社の新書ですね。

 「女帝を拒否した天皇制というのが歴史的にどうであったか、歴史的にちゃんと勉強していない」という批判から始まって、皇室典範は女性差別で「違憲」という主張には、世襲制と象徴という、「一般市民の世界」には存在しない、「それ自体差別的、非合理な世界」を「憲法が作ってしまった」という大問題の方から問題を考えるべきだと奥平は強調する。
 加納は「天皇制の権力論が甘い」。「愛子」天皇にするということが目的で女帝容認論が出てきているわけだが、「天皇になるということは人を差別する地位に立つということです」。憲法14条〈法の下の平等〉の精神を前提に「女性天皇」容認すべしという加納の主張に、「無差別を表する憲法の14条が人を差別することの地位に立つことを平等の名において主張というのは背理だろう、という考え方が僕にはある」。
 「加納さんはきっと、それが女性解放だけでなく、人間解放・人間の差別化反対に資する、とお考えなのでしょう。これら一連の『女帝論』者は、そのことによって愛子内親王が天皇という人間差別の地位に即くことを支持し、天皇制を長生きさせることに貢献しようというわけです」。

――ウーン、ずいぶん強烈な批判ね。

天野 なんで加納さんが、あんな主張をしたのか、皆同様、ひどくガッカリしたんだろうね。ただ奥平さんが出してる論点(違憲論批判)は重大な論点。キチンと今の状況の中でも考えて、加納さんとの想像上の論議も必要なら持続していきたいと思います。

――ナルホド。女帝論議を正面から、あらためてしなければならない時間に、本当に入るのかナー。
今回はここまで。
(あまの・やすかず/本誌編集委員)


月刊「市民の意見」 2024年6月1日号 26ページ 「皇室情報の検証<象徴天皇教>と憲法をめぐる問答(14)-『愛子女帝』はあるのか?」から引用

 天皇制をなるべく早めに止めるべきだと考える人たちの間では、まず最初は女性天皇の即位を実現する、次の段階で天皇制の廃止を実現するという「二段階」論と、男系でも女系でもとにかくもう廃止という議論の二通りがあるということのようです。私が思うには、急な変化は人々を動揺させる元になりがちですから、天皇制について人々が迷信から解放されて、差別のない社会を実現するには過去の社会から引き継いだ差別のシステムである天皇制を、もう廃止して良い時代になったのではないかと、人々が議論し納得するまでの間、女性天皇の即位を認めて、時間稼ぎをするというのが、スムーズな社会の進歩に貢献する「道」であるように思います。





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最終更新日  2024年07月09日 01時00分10秒
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