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2024年07月18日
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テーマ:ニュース(99586)
カテゴリ:ニュース
最近自民党政府が言い出した言葉に「食料安保」という変な言葉があるが、この「食料安保」について熱心に取材を続けてきた朝日新聞・加藤裕則記者は、4日の同紙夕刊に次のように書いている;


 この1年余り、「食料安全保障」という言葉を追いかけてきた。

 5月下旬、改正食料・農業・農村基本法が成立した。基本法は「農政の憲法」と言われる。食料安保の確保は、その第1条に書き込まれ、基本理念になった。

 改正前にも法律に記されていた。ただ、それは深刻な食料不足という緊急時の対応に限られていた。今回、新たに農業の振興、安定した輸入、備蓄、適正な価格形成など平時からの対応を含む多くの主要施策が食料安保の確保を目的とするものとして組み込まれた。

 なぜ、重視するのか。

 自民党農林族の実力者、江藤拓氏は3月の衆院本会議で、ロシアのウクライナ侵攻で肥料や飼料の価格が高騰したことなどを挙げ、「食料が戦略物資になったことが明確になった」と述べた。食料が、いつでも安価に手に入る時代は終わったという認識だ。

 政府が国民の食料を確保する――。そんな勇ましい「意志」が込められているようで、官僚や政治家を鼓舞するのだろう。でも、私はどこか距離を感じた。

 5月14日、参院の農林水産委員会で、参考人質疑があった。明治大学の作山巧教授(農業経済学)は「食料安全保障という用語の使い方に問題がある」と言った。続けて、「『安全保障』は外国からの攻撃から国を守るという有事をさし、平時の食料確保を含めて『食料安全保障』とするのは拡大解釈だ」と説明した。

 「分かりにくい言葉。これまで通りの『食料の安定供給』でいいのでは」と言う生活協同組合の幹部もいた。力強い言葉に、国民や農家は威圧を感じやすいのではないか。

 日本は食料の6割(カロリーベース)を海外に頼る。肥料もほとんどが輸入だ。そんな脆弱(ぜいじゃく)性を抱える国にとって、「農政の憲法」はどうあるべきなのか。

 やはり国会に参考人としてよばれた元農水省構造改善局長の野中和雄氏の言葉にヒントがあった。「(食料安保は)都市住民から見れば重要だ。ただ、農村地域に住んでいる人にとっては、その前に自分の仕事、暮らしを続けられるのが一番重要」。今回の基本法改正には、農村を再生させる視点が抜け落ちている、という訴えだった。

 消費者と、農業に関わる人びとや地域との共存、さらに農業や食料分野を含む多角的な国際貢献が、一番の「安全保障」になるのではないか。野中氏らの言葉を聞き、強くそう思っている。
(経済部)

     *

<かとう・ひろのり> 1989年入社。地方総局のほか東京や大阪、名古屋、福岡で経済を担当した。先月、川崎市の自宅近くのスーパーでニュージーランド産のリンゴを見つけた。なかなかの味で、食料自給率の向上は簡単ではないと思った。


2024年7月4日 朝日新聞夕刊 4版 9ページ 「取材考記-改正法理念『食料安保』農村との共存から」から引用

 「食料安保」とは奇妙な言葉であるが、この記事のタイトルにある「農村との共存」という言葉も違和感をもたらす言葉である。「これからは共存していくことにしよう」と言えば、その前提には「今まではどっちが主導権を握るか争ってきたが、これからは・・・」というような状況が存在する場合の話である。果たして、そういう前提条件が存在することを認識した上で書かれたのがこの記事なのかという疑問を、私は感じます。人間が健康で豊かに暮らすために、農業すなわち食料生産は必須の事業ですから、国としても農業は基幹産業として最も重要な産業のはずです。だから、アメリカでは国策として農業従事者は手厚く処遇されており、農業生産物が天候の関係で必要量を超えて生産された場合、その分を政府が買い取るというような政策も頻繁に実施され、アメリカ合衆国の農業従事者は安心して仕事に従事することが出来るわけです。しかし、日本の場合はどうかというと、我々が小学生だった昭和30年代頃までは、農家が生産した米は一旦政府が全量買い上げた上で、米穀市場に卸すというシステムになっていたものを、経済の高度成長期に入ると「市場経済の導入」と称して、それまで政府が決めていた「農家からの買い取り価格」を、市場の取引に任せる時代となり、そこから「農村の苦境」が始まりました。その頃には、新聞はしきりに「米が余っている」というキャンペーンをしていました。何故そうなったかと言えば、それは日本政府が国産の自動車や家電製品をアメリカに輸出する代わりに、アメリカの小麦を輸入するという政策を取ったからで、テレビは連日「明るい家庭の朝食はパン」という設定のコマーシャルを毎日放送して、すっかりその気になった市民は、輸入小麦を消費する分、米の消費は減ってしまったわけです。そのため、日本中の農家はもはや専業農家としては家計が成り立たず、農閑期には都会に出稼ぎに出るのが一般化したのでした。このようにして農家を冷遇してきた結果、地方の農村に後継者は育たなくなり、耕作放棄された田畑は荒れ放題となり、住民も激減した限界集落となっているのが実情です。そのような因果関係を検討することもなく、「食料安保」などという目先の変わったスローガンを持ち出してみても、本質的な問題解決には遠く及ばないのではないかと思います。





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最終更新日  2024年07月18日 07時54分36秒
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