昨日の欄に引用した朝日新聞のスクープに関する専門家のコメント記事の続きは、中央大学教授・中北浩爾氏の次のようなコメントを紹介している;
■組織的関係否定の党主張に強い疑義
中央大教授(現代日本政治論)・中北浩爾さん
自民党は旧統一教会との組織的な関係はないと主張し続けてきた。今回の写真や証言は強い疑義を突きつけた。
当時は衆参の「ねじれ」解消を目指し、党として広く支持団体を求める動機があった。安倍氏は選挙に非常に詳しく、面談で組織票についてやり取りをした可能性も十分に考えられる。
面談で選挙支援が確認された自民党候補の北村経夫・現参院議員が、実際に教団友好団体の支援を受け、党本部に報告していたことが党の資料から発覚した。朝日新聞が報じた内容だが、党が北村氏の支援団体として教団を把握していたことを示す重大な証拠だ。
資料は、誰にどの支援団体がついているのか、選挙態勢を確認するためのもので、党の選挙対策本部で共有されていたはずだ。教団と安倍氏の個人的なつながりだけではなく、党とも組織的といえる関係があったことについて、言い逃れが難しい状況になった。
党は安倍氏が亡くなったことを理由に教団側との関係を調査してこなかった。だが、当時の選挙関連資料や宗教団体との面談記録、選対本部の関係者、北村氏、同席した萩生田光一衆院議員らへの聴き取りなどいくらでも調査ができるはずだ。
それでも岸田文雄首相は教団との関係について調査する考えはないという。党総裁選の候補者も一様に口を閉ざしていた。だが、党として調査することでしか、責任を果たすことはできない。一連の経緯を第三者委員会を設置して徹底的に調査し、うみを出し切るべきだ。
<聞き手・高島曜介>
■180議員、接点認める
2022年7月の安倍元首相銃撃事件を機に、自民党を中心に政治家と旧統一教会側との関係が明るみに出た。自民党は直後の9月、党所属国会議員と教団との接点について点検結果を公表。379人中179人(のちに180人に)が選挙支援や教団関連団体の会合への出席などを認めた。
自民党は教団との組織的関係を否定し続けたが、その後も教団側との接点が相次いで浮上した。岸田文雄首相が党政調会長だった19年、党本部で教団友好団体トップらと面会していたことが朝日新聞の報道で23年12月に発覚した。
2024年9月30日 朝日新聞朝刊 13版S 27ページ 「安倍氏と教団 写真が示すのは」から後半を引用
中北氏のコメントは、実にもっともな話で、岸田首相(当時)は「安倍氏が亡くなっているので、これ以上の調査は不可能」などと中学生の思いつきレベルの、とって付けたような「理由」で、勝手に「組織的なつながりは無い」と決めつけただけの話だったのだから、自民党本部の総裁応接室での「記念写真」が存在することが明らかになったからには、石破首相は自分が「蚊帳の外」だったなどということは棚上げして、客観的な立場から、かつての自民党が統一教会とどのような関係を続けてきているのか、明らかにする必要があると思います。新総裁が覚悟を決めて、この問題の究明をしてこそ国民の信頼を回復できるのであって、それを怠れば、旧来の「安倍路線」はそのまま自民党内に温存されて、やがては「解党」の時を迎えることになるわけで、ここで石破総裁が奮起して「党改革」を実行できれば、末永く「党を救った偉人」として尊敬されることになるでしょう。