このごろ時代小説はあまり読んでなく、特に女性作家のは敬遠だったのだが、これは楽しかった。
時代ものというより時を江戸時代にとったファンタジー。
昔、よく八ヶ岳の山荘で夏を過ごしたものだが、夜の真っ暗なこと、闇がこんなに黒い!とはと驚いたものだった。なにものかが息づいている気配がしてものすごく怖かった。
もちろん小動物はいたろうが、暗闇にもののけを想像してしまうのだ。月のない夜、星のない夜の森林は不安と怖ろしさに捉えられる。
江戸時代の夜もそんな風だったんだろうね。妖怪がいても不思議がないような気がしてくるからおかしい。
けれどこのファンタジーの妖怪はおちゃめ。語り口がほのぼの。しかし「娑婆け」との題名にあるように、人間性にぐぐっと迫ってくる内容。
人間、スポイルされるとなにやらかすんだろうね~。