最近、JR有楽町駅前に行ったことのあるひとはわかると思うけど、様変わりに驚く。とくに交通会館側がひどい。いや、きれいになった。
日劇がマリオンになった時はわたしもやや歓迎、カラクリ時計にみとれていた。けれども、けれどもこんどはもの哀しい。
これではどこの駅前だかわからない。このごろみんなこんな風なんだもの。秋葉原だってそう。
もちろん、駅前再開発は利点もおおありだろう。そうなる時勢だことは知ってはいたが…。
松本清張や井上靖の『氷壁』に登場する薄暗い二階喫茶店とか、ガード下の飲み屋街。猥雑でくすんだ灰色の横丁が消えた。
むかし、むかし
数寄屋橋を無くす高速道路工事のころ、東京へ引っ越してきた初めての日、従姉と「シューベルト」の映画を見に行ったことが思い浮かぶ。
マリナ・ブラディが魅力的だの、音楽がすばらしかった印象を押しのけて、有楽町駅前で食べたラーメンのうまさが忘れられないという中学生のおかしさ。
今から思えばたいしたことはないんだろうけど、洋食屋のおいしかったエビフライ。いち早く山盛りのイチゴが安かった果物屋(その果物屋は残っていた!)。
やはりパチンコ屋さんもきれいなのが出来ていたけど、それもパチンコのザラザラ、ジャラジャラの中をくぐり抜けるように駅へ急いだ昔のようではない。
去るものは追わず、思い出す、にび色風景のみ。
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