「霊魂論」エチカ詳解98
スピノザが自らの思考の集大成と目論んだ「エチカ」の近世の時代背景、究極的な思考要因となったのには、当時のイギリス世界における政変が影響していることは間違いありません。近世当時の英国が強大な影響力を持ち世界を先導する英国、そこにシェークスピア(William Shakespeare の偉大なる小説「ハムレット(Hamlet)」が誕生します。恰(あたか)も日本の歌舞伎に忠臣蔵が登場した様にです。「ハムレット」は北欧伝説が下敷きになっているとされますが、エリザベス女王、世界に冠たる大英帝国、その栄光を築いたのが女王エリザベス1世。 イングランドの歴史に燦然と輝く女王ですが、 其の治世末年から新王ジェームズ一世の治世初頭にかけて、16世紀から17世紀初頭の世紀の変わり目に上演されますが、ジェームズ一世はハムレットのモデルの一人であると目されています。何故なら、ハムレットの母ガートルードは、夫たる王を殺害し、その後を襲った弟と日を経ずして再婚しますが、ジェームズの母親スコットランド女王メアリー・スチュアートも、ジェームズの父であるその夫ヘンリー・ダーリン卿を殺害したボズウェル伯と、事件の数ヶ月語には再婚、その後、スコットランドの政変により英国近親エリザベスのもとに亡命するもカトリックであったメアリーは謀反のかどでエリザベスの命により処刑され、エリザベスの元でプロテスタントとして育てられたジェームズはエリザベスの後を継ぎ、英国国教会の首長たるイングランド国王ジェームズ一世となるのですが、「ハムレット」がデンマークの伝説を模したかたちで世情を描いてみせたと捉えるのは、忠臣蔵からの深読みでしょうか。スピノザの思想の背景には此のような政体の事情もあり信教徒は過敏な反応を示す傾向に包まれます。
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