ルドルフ・ジョセフ・ローレンツ・シュタイナー
「霊的世界の入口/DIE SCHWELLE DER GEISTIGEN WELT」序論:本書では、霊的な認識が感覚の世界と霊的な世界を隔てている境界を越えるときに見られるような世界と人間存在の諸部分について、いくつかの記述が格言の形で与えられる筈である。それは系統的な表現でもなければ、何らかの関連で求められるような完成品でもないが、霊的な体験から試みられた自由な仕方によるいくつかの記述である。この関連で言えば、本書は昨年出版された「人間の自己認識への道」と同様、私の他の著作を補完し、拡張するものである。とはいえ、ここで追及されたのは、他の著作に関する知識なしでも、それ自体で読まれ得るような表現である。精神科学の認識へと本当に分け入ろうとする者であれば、人生の霊的な領域は常に新たな側面から考察できることが必要であると感じる筈である。確かに、個々のそのような表現には一面性がつきまとうというのは当然のことである。このことは、感覚世界に関してよりも、霊的な領域の記述について遥かによく当てはまる。したがって、一度受け入れたひとつの表現に満足する者は、霊的な認識に本当に熱心であるとは言い難い。私としては、そのような記述によって、霊的な世界の認識に向けてここで暗示されたような仕方で熱心に取り組む人の役に立てればと願っている。したがって、私の著作の中で何らかの観点から記述された霊的な事実は、いつも別の観点から表現するよう試みている。そのような表現は、ある人物や事象が様々な観点から描写される場合のように、互いが互いを補完する。ある一定の観点からなされるそのような個々の記述は、別の観点からでは明らかにならないような認識を述べる機会ともなる。自ら霊視を試みようとする者にとって、瞑想の素材としてのさらなる手掛かりとなるものもまた本書の中で提供される。これらの手掛かりをそれに相応しい仕方で魂的な生活に適用しようと試みるならば、それに気づく筈である。M?nchen, im August 1913 Rudolf Steiner1913 年 8 月 ミュンヘンにてルドルフ・シュタイナー哲学・思想ランキング