震災25日目 ~ここにもいた「被害者」~
今日は3日ぶりの出勤日。高速バスの混み具合は相変わらずで、今日は補助席に乗車。景色が見れないので、道中ではずっと寝ていた。目が覚めると、仙台宮城インターチェンジの直前で、時計の針は8時12分を指していた。この分なら8時40分前後には仙台駅に着けるなと思いきや、仙台市中心部へと通じる仙台西道路がまさかの大渋滞。ギューギュー詰めで全く動かない状況であり、わずか5、6キロ先の仙台駅に着くまでに約1時間を要した。始業時刻の10時までに勤務先方面へと向かうバスは既になく、この時点で遅刻確定… 早く電車が復旧してくれないかなと思う。結局、勤務先についたのは、10時半ごろのことであった。清掃用の作業着に着替えて現場に向かう途中で、日頃よりお世話になっている静岡県の方とばったり出くわす。新幹線も空港も復旧していないのにどうやっていらしたのですかと訊ねると、今回はクルマで来仙したとのこと。来社に際しては勤務先の方がお願いしている経緯もあるだけに、非常に有難く思う。昼休みに、その方としばし雑談。テーマは、東京電力の「株価」について。福島第一原発の事故以来、この会社の株価は、当然のことながら急落傾向にある。事故直前では1株2,000円を超えていたのに、今では400円台まで下がってしまった(注・このブログを執筆している4月6日の段階で300円前後にまで下落)。実はこの方の知人に東京電力の株主がいて、頭を抱えているとの話。ついでに言うと、その知人の方は日本航空の株も所有して酷い目にあったばかりだったとのこと。私としてはお気の毒さまと声をかける他はない。ところで、その方がおっしゃるところによると、東京電力の株は株価が乱高下することも少ないうえに1株当りの配当金が高めに設定されているので、個人株主も相当数いるのではないか…とのこと。確かにデータを見ると、事故前2年あまりの株価は概ね1株2,000円から2,500円の枠内で推移しているし、1株当りの配当金はここ10年以上にわたって年間60円から70円をキープしていた。東京電力の単元株式は100株だから、20万円ちょっとの投資で少なくとも年間6,000円(源泉税徴収後で5,400円)の利益が得られた訳だ。そこらの定期預金よりも断然安定的な投資先だったのである。ところが、今の状況だと上場廃止も避けられない模様。株券も当然紙くずになり、天を仰ぐ個人投資家が続出するのは必至だ。ネットでの取引が常態化したことに伴い株式投資が富裕層以外にも手を出しやすいツールとなっていることを考えると、財産の多くを失ってしまった個人投資家も少なくないと推察される。原発事故の被害者は、ここにもいる。報じてくれるメディアは、今のところどこにもないけれど。