ピクサー展・追加
芸術はテクノロジーの限界に挑み、テクノロジーは新しい芸術を生み出す ジョン・ラセター The art challenges the technology, and the technology inspires the art. John Lasseter 六本木ヒルズで開催中のピクサー展の展示後に、壁のボード書いてあった言葉です。 テクノロジーの塊のようなCGアニメを作っているピクサー社ですけれども、彼らの物語の作り方というのは、テクノロジーありきではないように思える展示内容でした。それは、六本木ヒルズで開催されたピクサー展でも、三鷹の森ジブリ美術館で昔、開催されていたのであっても。どのストーリーも、イメージボードを作ってはみんなで討議し、イメージ画を並べ替え、上司にレビューしてもらって、ということの繰り返しだったような感じです。 それが「芸術はテクノロジーの限界に挑み」の部分のように思います。また、テクノロジーの発展があったからこそ、描き出すことができるようになったものもあります。例えば、初期には人間の細かな動きを再現できないということで、おもちゃや虫などを主人公にした作品を多く制作していたそうです。が、技術が向上してきて、初めて人間を主人公にしたアニメーションに挑戦できたのが「Mr.インクレディブル」でした。 これは、アニメ作りだけではないでしょう。新しいサービスや商品を作り出す時においても、同じことがいえるかもしれません。やはり、テクノロジーだけでもダメだし、芸術だけ(商品企画?)だけでもダメなのでしょう。商品企画が技術の限界に挑み、技術を向上させる。向上した技術は、また新しい思いもつかないような切り口を商品企画へフィードバックする。このサイクルが健全に回ってこそ、顧客を喜ばせることができるし、両方ともよりよく向上していくのではないでしょうか。 そう考えると、なかなか私にも耳に痛い言葉でした。 そうそう。いま公開中のゲド戦記を監督された宮崎吾朗監督は、ジブリ美術館の館長をされた時にピクサー展を開催し、そのときのピクサーの「ストーリーボード」の作り方にヒントを得て、ゲド戦記のストーリーボードを作られたそうです。いまなら、六本木ヒルズで、宮崎吾朗監督が参考にし、影響を受けたボードの実物を見ることができますよ。