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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(か行)
原題: IN THE VALLEY OF ELAH 監督・脚本・製作 : ポール・ハギス 出演 : トミー・リー・ジョーンズ 、シャーリーズ・セロン 、 スーザン・サランドン 、 ジエームズ・フランコ 、 ジェイソン・パトリック 公式サイトはこちら。 <Story> 2004年、ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)の元に息子のマイク(ジョナサン・タッカー)が軍から姿を消したと連絡が入る。 イラクから戻ったマイクが基地へ戻らないというのだ。 ハンクも引退した元軍人だった。 息子の行動に疑問を持ったハンクは基地のある町へと向かう。 帰国している同じ隊の仲間たちに聞いても、皆マイクの行方を知らなかった。 やがてマイクの焼死体が発見されたという連絡が入る。 ハンクは地元警察の女刑事エミリー(シャーリーズ・セロン)の協力を得て、事件の真相を探ろうとするが…。 告発のとき - goo 映画 <感想> ハギス作品は、『クラッシュ』でかなりその深さが気に入ってしまいまして、 これも早く見たかった1本。 イラク戦争絡みということですので、必然的に重たくなるのは承知しておりましたが。 戦争から帰還した息子が行方不明になり、やがて死体で発見される。 その不可解さをトミー・リー・ジョーンズ演じる父親が徹底的に追求していくんですね。 父親であるハンクも元軍人ということで、事態に明るいのが事件を解き明かすのに役に立つ。 どんなに目を背けたくなる事実が現れたとしても、 元軍人のプライドと経験に支えられ、彼は事実を導き出していく。
スーザン・サランドン演じる母親、自分の子どもたちが全て戦争で失われたという慟哭に耐えているシーンもとても胸が痛かったです。 足を投げ出して座りこんで泣く彼女の上からカメラが来ているのですが、 その投げ出した脚がとても美しく、 齢を重ねてもしゃんとして生きている彼女じゃないとできない演技でした。 シャーリーズ・セロン自身も苛酷な半生を送ってきているせいだろうか、 どんな状況でもそれに堪えて積み上げていく姿勢が印象的でした。 管轄外だからと邪険に扱ってしまった相談者が辿った末路・・・ もうそんなことは繰り返したくなく、軍警察からの妨害や偽装工作も許せず。 敢然と立ち向かっていく姿がよかったですね。 結局、戦争は誰もを狂気にしてしまうということ。 誰がやった、やってない、 したくない、したいということではなく、 実行しなかったら次は自分の命がない。 そして規律には絶対に服従しないといけない。たとえそれが不条理でも。 その狭間で病んでいった心が哀れです。 テーマ的には、『ノーカントリー』に通じるものがあったのではないかと感じました。 古い常識が通用しないどころか、思いもよらない事態に人間の精神が病んでいく現状。 その現状を見つめていく作業事態は大変難しく、 また見つめてしまった人間は、そこから目をそらしたとしても、 確実に見つめたことによる傷は出来てしまっている。 同じ軍人だから・・・ という既成概念は最早過去のもの、と頭を切り替えないと、 背負ったもののあまりの重さに生きていけなくなってしまう。 "No country for old men..." と言ったのはトミーでしたし、ジョシュ・ブローリンも出演でしたので、 どうしてもそこがかぶってしまうのですが、 こちらの映画の方が私はすーっと入ってきたように思います。 あちらは残虐性のほうが勝ってしまっているので。。。 upside downの国旗・・・。 もう危機が迫っているどころか、取り返しのつかない事態になっているのに、 手の施しようもなく、また何から手をつけていいのかさえもわからない状況のアメリカ。 強烈な言葉を、静かに深く、見せてくれたように思います。
今日の評価:★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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