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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(ら行)
原題: RACHEL GETTING MARRIED 監督 : ジョナサン・デミ 出演 : アン・ハサウェイ 、 ローズマリー・デウィット 、 ビル・アーウィン 、 トゥンデ・アデビンペ 、 マーサー・ジッケル 、 アンナ・ディーヴァー・スミス 、 アニサ・ジョージ 鑑賞劇場 : CINECITTA' 公式サイトはこちら。 <Story> バックマン家の次女キム(アン・ハサウェイ)が9ヶ月ぶりに更生施設から帰宅する。 2日後に姉レイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚式を控え、手作り挙式の準備で大わらわの自宅には新郎の友人ら見知らぬ人々が溢れ、所在無さと疎外感でキムは苛々をつのらせて行く。 そんな妹の身勝手な態度にレイチェルは怒りを爆発させてしまう。 依存症の治療を続けるキムの存在は気まずさと緊張感をもたらし、一家に辛く悲しい過去の記憶を否応なく甦らせるのだった。 レイチェルの結婚 - goo 映画 <感想> アン・ハサウェイの前作『パッセンジャーズ』は結局スルーしてしまいましたが、これは大変期待していた1本。 まずタイトルに、女の子の好きな「結婚」って入ってますし。 結婚式が出てくる映画は夢があるから好きです。 かわいいし。 ・・・なのですが今回結婚するのはアン・ハサウェイではなく、そのお姉さん。 アンはドラッグ中毒で施設に入って矯正プログラムを受け、退所したばかりの次女キムという役です。 結婚式の主役は他ならぬ姉のレイチェル。 もちろんそれを分かっているはずなのに、そして祝福もしたいはずなのに、口をついて出る言葉は自分の薬物依存症の矯正の話ばかり。 両家の親族の前で延々と自分の今までの治療がうまくいかなかった言い訳ばかりを聞かされたレイチェルはじめ家族の苛立ちと失望は想像に余りある。 このシーンは結構、女性としては怒るだろうなあ・・・と思いますね。 だって自分の一世一代の結婚式のセレモニーの1つで、そんなぶち壊しみたいなことされたら普通怒る。結婚式のトラブルってかなり後々まで尾を引きますから。 そしてそんなみんなのイライラをさらに逆撫でするかのようなキムの謝罪。 レイチェルに一同の祝福が集まって、自分に注意を払ってくれる人が誰もいなくなってしまうと、祝うどころか「私が本気で話しているのに、フェアじゃない!」とキレてしまう・・・。 観ている方としては全くもって勝手だなあ。。。と言いたくもなるのですが、キムにもキムの言い分がある。 自分がかつて引き起こした事件。 それを家族はいまだ許してはくれないし、そんなことを起こしてしまった自分自身をももちろん許せないから。 こうしてやっと家族のところに戻ってきたのに、誰も自分の話を聞いてくれない。 自分は愛されていない。
キムは薬物依存症の療養のために施設に入っていたケースだが、退所すればどこかで受け皿がいる。 身内だから世話をしないといけない、だけど依存者自身が周りとの関係をうまく持って行けなかったとなると家族にかかる負担は大きくなっていく。 そして、うまくやっていけない相手が世話をしてくれる家族に他ならないとすると、拒絶されてしまう可能性は高くなる。 どこかでこの悪循環を断ち切っていかないと、快い家族の関係は築けなくなる。 ましてただでさえ家族間を壊してしまう重大な事件を起こしてしまったのに、キムはさらにレイチェルとの関係を断絶させるようなことをしていた。 それはレイチェルにとってはものすごい裏切り。 普通なら姉妹の縁を切ってもいいくらいかなと思うのですけど、レイチェルはキムを受け入れていく。 一瞬、どうにでもなってくれとも思ったのでしょうけど、どこにも行き場のない妹を受け入れていく。 レイチェルにはレイチェルで、彼女にしかわからないトラウマを抱えていたから。 妹への愛情と引き換えにすり減らしていった自分の心。 でも、自分をさらけ出して妹を受け入れていくことで、収められていく積年の想いに気が付いていく。 ここではレイチェルとキムの両親のことはあまり語られてはいない。 だが結論として離婚をし、お互い新しいパートナーと人生を歩んでいるのを見れば、どのような結婚生活であったのかはおおよそ見当はつく。 レイチェルにとって、トラブルメーカーの妹にかかりきり、というよりも波風立てたくない父親の姿は大きな心の傷になったであろうし、また自分の結婚式なのに何となく水臭い母の態度にも失望させられたと思う。 キムにとっては、父から自分が信用されていないのは嫌なことだったに違いないし、自分から謝りに行ったのに実の母が取った態度だってたぶんこれから先も思い出してしまうだろう。 家族が家族の形を成せない。 それはアメリカだけでなく各地であることで、決して今に始まったことではないけど、お互い今まで真剣に向き合ってこなかった代償はどこかで現れる。 これからこの一族が、例え結婚して巣立っていったとしても、レイチェルの結婚で確認した絆を思い出して生きて行ってくれればいい。 そんな希望的観測はある。 今までどちらかというと、きれいどころな役が多かったアン・ハサウェイ。 本作では薬物依存の矯正中という思い切った設定の役柄で、今までのイメージを覆すような演技を見せてくれた。 レイチェル役のローズマリー・デウィットも、難しい家族間の問題を抱えながら幸せを追求する一方、どこかでその問題から逃れたい願望を潜めるという役を良くこなしていたと思う。 そして母親役のデブラ・ウィンガーは、自分は『デブラ・ウィンガーを探して』以来だったけど、あのときよりも表情が優雅になっているように感じた。子供のことを思いつつも、最後は自分中心という二面性。これも難しい役ですね。 ハンディカメラで撮影したかのような画像がより一層、家庭内での出来事を描いたリアル感を出し、その中でアンはキムになりきって感情を露わにし、体当たりで演じていたように思う。 両家が白人と黒人ということ、そして新郎が音楽関係者という設定であったことなどもあってか、音楽や結婚式の様子なども文化のクロスオーヴァーが見受けられた。 結婚式での、「レイチェルレイチェル・・・」というコール、パーティーの様子など、文化が混ざり合う風景なども非常に興味深く鑑賞できたように思う。
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