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テーマ:DVD映画鑑賞(14189)
カテゴリ:邦画(た行・な行)
監督・脚本 : 是枝裕和 出演 : 柳楽優弥 、北浦愛 、 木村飛影 、清水萌々子 、韓英恵 、YOU <Story> 秋。 2DKのアパートに、母親のけい子(YOU)と、12歳の明(柳楽優弥)を筆頭に京子(北浦愛)、茂(木村飛影)、ゆき(清水萌々子)の4人の兄妹が引っ越して来た。 子供たちは、それぞれに父親が違い、学校にも通ったことがなかった。 ある日、けい子が20万円の現金と明に「妹弟たちを頼む」とのメモを残して姿を消した。 誰も知らない(2004) - goo 映画 <感想> 言わずと知れた、柳楽優弥くんカンヌ主演男優賞受賞作。 公開当時は、今ほど映画に行けなかったので、ミニシアター系はスルーが多く、今になってようやく観賞。 実際にあった事件をモデルにしたということですし、ネグレクトがテーマということで、胸が痛いのは承知の上ですが。 けい子みたいな母親ってたぶんこの世に存在しているんじゃないかなと思う。 何となく生きて何となく子どもを産んで、子どもをおもちゃのように、自分の都合のよいように扱って。 何とも思わないからこそ、12歳を頭に4人の子を置き去りにして失踪するわけだから。 子どもたちが学校に行きたいという願いを出すたびに、のらりくらりとごまかしているけい子の横っ面をひっぱたいてやりたいような感覚にとらわれる。 彼女のような人って何を言っても無駄なんだと思うんだけどね。 子どもが気の毒。 その事実から派生する出来事について、大人である私たちは、果たしてこの子たちがどうやって生き抜いていくのだろうかと予測することができる。 そして、意外と今の日本には、何も収入がなくても人が生きていける環境があることに気がつく。 それは残飯であったり、公共の水道であったり。 多少人と人とのつながりがあれば、生きる道が確保されるのかもしれない。 しかしながらそれを、たった12歳の少年が、その頭で考えながら4人のために行っていく。 12歳の子が銀行振り込みの方法や、知己に金の無心に行くということを知っているのが、限りなく哀しい。 そうでもしないと生きていけないことがわかっているから、する。 思春期に差し掛かり始めの年頃ならではの恥じらいも当然ある中での淡々とした行動だけど、けい子が言うところの 「頼りにしてるわよ!」がどんなに過酷なのか。 観客の方がその重たさに押しつぶされそうになる。 大体、子どもに「家から外に出てはいけない、だけど家の中で騒いではいけない」などと大人が言うこと自体がもう立派な虐待である。 そんな風にして育つ子供はほとんどあり得ない。 外界に興味を持って、自分以外のつながりをどんどん作って行って人は成長する。 それなのに、実の母に一切を断ち切られてしまうことの残虐さに子どもたちは気がつかない。 それどころか、唯一の身近な肉親である母親を、最後まで頼りにしている。 もうお母さんはここには帰ってこないんじゃないかという一抹の不安を覚えながらも、母親の痕跡を懸命にたどろうとする子どもたち(特に京子)の姿が痛々しい。 こんな親でも、子は頼りにしているのだという現実。 子は親を選べないと言うけど、親心が何もない親なら、もういない方がいい。 傍から見るとこんなに残酷な話ってなく、また悲しい出来事も起こるんだけど、 それでも子どもたちはたくましいんだよね。 それでも、前を向いていく子どもたちが健気であり、また哀しい。 明が一瞬の隙に見せる幼さと不安、そして虎視眈々と次を考える表情が痛かった。 彼らをそっと見守る人たち、特に韓英恵ちゃん演じる女子高生(中学生?)も、既存の枠から外れても生きる道があることに共感していく役を好演していました。 こんなことはもう現実にあってほしくはないですね。。
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