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テーマ:映画館で観た映画(8464)
カテゴリ:洋画(は行)
原題: BRIGHT STAR 監督・脚本 : ジェーン・カンピオン 出演 : アビー・コーニッシュ 、 ベン・ウィショー 、 ポール・シュナイダー 、 ケリー・フォックス 公式サイトはこちら。 <Story> 1818年、ロンドン郊外ハムステッド。 貧しさに喘ぐ新鋭詩人ジョン・キーツ(ベン・ウィショー)は親友の編集者ブラウン(ポール・シュナイダー)の家に身を寄せる。 隣家の長女ファニー(アビー・コーニッシュ)はブラウンとは犬猿の仲だったが、繊細で穏やかなキーツに惹かれ、彼の詩集を読み、その才能を確信する。 裁縫とダンスに情熱を燃やす快活さと、弟を亡くした自分への深い思いやりを併せ持つファニーにキーツも魅了される。 愛を育み始める2人だったが、やがて病魔がキーツを襲う。 ![]() ブライト・スター ~いちばん美しい恋の詩(うた)~ - goo 映画 <感想> ジョン・キーツが映画になるというので、かなり楽しみにして行きました。 彼の詩の、流れるような美しさと、情景描写が好きなんです。 特に好きなのは、"Ode on a Grecian Urn"。 イギリス文芸映画と言えば、キーラ・ナイトレイがヒロインの定石みたいなイメージが強いんですが、今回はアビー・コーニッシュ。 最近の文芸もののヒロインの中では割と地味な感じかもしれません。 落ち着いた雰囲気で演じています。 2010年アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネートという栄誉にふさわしく、ファニー手製という設定の衣装も凝っている。 「フリルとリボン」と例えているけど、まさにその世界をわかりやすく表した衣装が多く、当時の子女たちが裁縫の腕をこうして上げたのかという時代考証にも役立ちそう。 そのデザインの中に込められているのは、乙女の夢そのもののような感じがする。 キーツが作家として活躍したのは晩年の(とは言っても25歳で逝去している)5年間。 ファニーと出会ったのが死の3年前ということなので、主な作品の発表とも重なり、改めてファニーの存在が詩作の支えとなっていたことが伺える。 本作はこの恋物語をファニーの視点を中心に描いたものなのだが、個人的には、この話はキーツ側から描いた方が、より彼の素晴らしさが出たようにも思う。 『ココ・シャネル』のように、彼の前半生をかいつまんで知らせ、それから恋話に転換した方がよかったかも。 彼が何故ファニーたちと出会ったのか。 ブラウンとの関係は何なのか。 冒頭あまり説明もないまま始まってしまうので、観客はキーツの人生についてある程度知っているということが前提となっている。 当時のイギリスは厳然たる階級社会。 そしてある程度経済力がある家庭と、一文無しの詩人との恋。 キーツの発病。 悲恋の条件としてはかなり揃ってしまっている。 そしてファニーとの恋の話になっていくが、これがいささかエピソードを引っ張り過ぎているようにも感じる。 彼女の視点なので致し方ないところか。 「フリルとリボン」に精を出すファニーは、今で言うところの流行の先端を行っていたような描き方。 だが彼女はそれだけではなく、惹かれていったキーツへの思慕もあってか詩にも興味を示していく。 単に表面の条件だけで人を好きになることはしたくないという意思が感じられる。 当時の手紙は今でいうところのメールのようなものだろう。 好きな人から返信が来る、来ないで一喜一憂する女心。 たとえそれが認められない愛とわかっていても、そうしないではいられないファニーと、それを見守っている家族の温かさが印象的。 中でも妹ちゃんが可愛かったな。 『つぐない』みたいな妹ちゃんじゃなくてよかった。 キーツの詩の一番の特徴である"rhyme"(韻)だが、これは絶対に原語でないと理解することは不可能である。 したがって観客に求められるのは語学力、そしてどこまでキーツの原詩に触れているかということ。 本作の中では "Bright Star" の詩にまつわるエピソードを描いている。 こういったシーンがもっとあってもよかったような気がする。 主軸が2人の恋愛になっているため、キーツの詩のどこがポイントなのかということが薄かった。 ここに期待してしまったので余計にもったいないような気がしてならなかった。 逆にキーツ目線からこの話を描いたとしたら、もっといろいろな詩の源流が出たであろう。 最後の "Ode to a Nightingale" が朗読だけで終わってしまったのは残念で、これこそファニーからインスパイアされたものだとしたら映像にしたら美しかっただろうなと思う。 映像の美しさ、純愛の切なさというものは十分に伝わっていただけに、ファニー目線からのストーリーでここまで話を膨らませると尺としては長めに感じてしまう。 ********************************* 今日の評価 : ★★★ 3/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.06.19 16:09:16
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