【猫大名】
評点 ★★★★+猫大名●神坂次郎 著 中公文庫●内容 新田義貞の末裔・岩松家は江戸時代、わずか百二十石(!)の石高の大名だった。けれど、霊験あらたかな「猫絵」でその名を知られ、数々の波乱の日々を送る。二十一代当主・満次郎俊純が明治維新後に男爵に叙せられるまでの日々を描く。●感想 まさか、江戸時代にこんな大名家があるとは露ほども知らず、物凄く驚きました。こういうお話をちゃんと歴史の中から掘って来る作家、というのは凄いですね。 新田義貞の頃からの岩松家の由来やら、江戸の始まりから明治の初めまで多岐に亘るお話なので、内容が沢山あって書ききれないのですが、その中でも驚き・感心した部分を書いておきます。・霊験新たかな猫の絵を描くのが仕事だった! 何故?・殿の寵愛麗しい側室を甕に詰め、蛇やらムカデで苛めた後、水中に放りこんだとんでもない事件が、江戸時代にはあった!・大阪にも黒船(ロシア軍艦)が来て、そのときのお代官の慌てよう!・明治を押し立てた長州・薩摩の若い侍の、なんとも豪胆なこと!・空っ風吹く上州の気質に、細かに触れたこと とまあ、大変、勉強になりました。お勧めです!