【サイコパス】
評点 ★★★★ 最近よく使われるサイコパスの意味をよく知りたくて買ってきました。勉強になった!サイコパス【電子書籍】[ 中野信子 ]●2016年度 文春新書●感想 サイコパスというのは、もともとは「連続殺人鬼などの反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念」なのだそうです。「カプトンイ」などのドラマでは、そんな人間が登場していて、きっと脳にどこか欠陥があるのだろうと考え、専門書を買ってみた次第です。 サイコパス型脳の人間は、「平気でウソをつき、罪悪感ゼロ……外見はクールで魅力的。会話やプレゼンテーションも抜群に面白い。しかし、じつはトンでもないウソつきである。不正や捏造が露見しても、まったく恥じることなく平然としている。ときには、あたかも自分が被害者であるかのようにふるまう。残虐な殺人や善良な人を陥れる犯罪を冷静沈着に遂行する。他人を利用することに長け、人の痛みなどこれっぽっちも感じない」というような特徴を持っているそうです。それを、人間の脳の「感情や記憶、同情」といったものを分担する部位の特徴で説明していて、説得力がありました。 人間の脳は、生物としての発達段階の順に外へ外へと増築型で発展している形で構成されていて、動物のとしての本能的なものを司る中心部分から外側に向かって、高度概念が扱えるような部位が重なって成り立っている構成ですね。とりわけ、「海馬や扁桃体のあたりに、情動の芯がある」あたり、いろいろと勉強になりました。また、「扁桃体と眼窩前頭皮質との繋がりが強すぎると、不安神経症になりやすい」辺りも、それが当てはまる傾向のある自分としては、じんわり身に染みた次第です。 人類の約1%はサイコパスだそうです。最近話題のどこかの国のお偉いさんも、どうもそうなのかも・・・。●それにしても、「世界の上位8人のお金持ちの資産は、もし平等に分けたら、人類の34%の人間が持つべき資産に相当する」のだそうです。 経済を資本主義だけで運営しようとすると、強者必勝・弱者必敗の経済社会に収斂します。「人間を自然のままに放置すると、強者しか生き残れない」 弱者にもお金が回って人間界全体が幸福に運営されるために設立されるのが「政府」だと思います。どこかの国は、反対の方向に向けて走り始めたように感じますが、いかがでしょうか?