今や観光化したが、かつてはサルトル(はとなりのカフェ「ドゥマゴ」の上に住んでいた)やボーボワール、アダモフ、ジャコメッティ、ロランバルト、俳優ではアランドロン、ブリジッドバルドーなどが訪れたカフェ。第二帝政時代から続く歴史があるが、実存君時代にはサンジェルマンデプレ界隈のカフェ文化開花。
そんなイメージを持って、フローラへ。
朝、10時、驚くほどに窓ガラスやテーブルが磨かれており、建物自体はまずまずの歴史を感じるが、退廃的な雰囲気はぴくりとも醸し出していない。
私は、文芸や政治活動に思いをはせながら、実存君ごっこをするのか、スノッブ君ごっこをするのか迷いながらカプチーノを飲んでいた。
10年前は、ギリシアのアテネで、金がなくて、テラスカフェの横の道端で缶ビールをちびりちびり飲みながら、通りゆく人々を眺めていた。遠巻きに値段をみると原価の3倍、その横の道端で座って同じ光景や雰囲気が味わえるなんてなんとお得なんだろうと、若かりし私は思い、丘の上のパルチノン神殿を眺めていた。
それから10年して、ちゃんと座って飲み物を飲める自分に感謝し年齢を感じた。
ふと気がつくと、斜め後ろにショーンコネリー風体の男が、頭を抱えながら何かを考えながらコーヒーを啜っている。香水のパコである。パコラバンヌはニューヨークでは自動販売機までがあった。
休日の朝、ゆっくり朝食を採って、物書きに専念し、休みにもアイデアに余念がないのだなあ、いろいろ考えているのだろうなと思い、ちらりと覗き込んでみた。クロスワードパズルをしていた。いい感じだった。
大阪の心斎橋、赤字垂れ流しの地下街クリスタ長堀にも支店がある。
キャッシュオンデリバリーで時々ビールを飲む。