酔狂の宴の後は、目を充血させたまま、朝の散歩に出かける。外は明るくなり、若い飲み屋のお姉さん方が託児所に預けていた子供たちの手を引きながらコンビニで買い物をし、飲み屋の店のシャッターが開いたと思えば、飲兵衛たちがふらふらしながら吐き出され、明るい琉球の朝は始まった。
飲み屋街の真ん中から、観光地通りの国際通りを越え、観光客向けの牧志公設市場を抜け(といっても、毎回、豚の首にサングラスをかけている勇姿を見に行ってしまうのだが)、住人たちの生活必需品を売っている通りをさらに抜けていったところにあるのが、JAの農連市場である。アジアであり、先日のサイゴンを思い出すのであった。
その横には、廃墟と化した飲み屋バーがまだオープンしており、店先に平均年齢オーバー60といったママたちが、飲み客を探しているのであった。朝まで飲む人向きというより、朝早く市場の仕事を終えた人向きなのであろう。
昨日、夜な夜な幸福のままに酒に溺れていった後輩奴隷1号を再び呼び出し、飛行機が離陸するまでの5時間、今度は那覇以南の極悪プレイスに連れて行くよう指南したのであった。彼もこちらに来てまだ2ヶ月、詰めが甘すぎる、もともと人生舐めているので仕方ないのであるが、ここは、栄光の先輩2人をピップ対応することにより、人格を磨いてもらうしかない。我々も辛いが、涙を飲んで、一流のサーバントになるよう、彼を鞭打つのであった。
どうやら同輩も朝に腹が減って、牛丼やに入ったのだが、客がおらず、すぐ注文したら出てくると思ったが、10分以上出てこなかったらしい。彼は優しいので、この人たちも一生懸命やっているのだろう、ただ要領が悪く動作がのろいだけであろう、といった感想を順調に持ったようである。よく本土の人間は沖縄の人たちは、ルーズだ時間を守らない仕事がとろい、と文句をいうが、彼らは彼らなりにやっているのである。本土に行った若者が夢破れてよく帰ってくるのは、こちらに来てみればよく分かるのである。
前置きは長くなったが、とにかく南侵である。しかし、後輩奴隷1号は、南には、戦争モノばかりですよ、という。そんなことはない。我々は、三日酔をひたすら我慢しながらも、ベトナム戦争や北海道沖縄開発で潤った立派な道路を進んでいくのである。おそらく、それから手入れされていないのか、立派だが、道質がどことなく東南アジアっぽいアスファルトを感じるのは、気候にやられたせいであろうか。道を走らせていると、とにかく地名が当て字が多く、地名と同じ人名があるというのがおかしい。南風原くん、知念さん。
世界遺産 斎場御嶽(せーふぁうたき)・・・南城市知念
つい最近まで男性は立ち入ることさえできなかったという聖地である。沖縄では祖先信仰やアミニズムに基づくノロやユタといった巫女シャーマン神女が息づいており、決め事に関しては、裁判官や警察官や役人よりも偉い。神聖なる場所は、やはり空気が違うことは感じられる。その何気なく置かれている石や、草木を勝手に動かすことはタブーである。聖地には、いろんな動植物昆虫が見られ、その生命力を感じることができる。シダ科の植物も見られる。ここ以外のほとんどの地域は戦時中に焼き尽くされてしまったようだ。
それにしても、日本でいえば、伊勢神宮みたいな所。そうなのに大袈裟な建物がなく、自然と小さな香炉がポツポツ。それだけに、磁場が強いというのか、ノロの力が強いというのか。そういったドハデな建物がないため、世界遺産とはいえ、観光バスが乗りつけるということもなく、無料であることは画期的に良いことである。(土産物屋もなく、観光案内人の小屋があるが、ただ今案内中の手書きメモが挟まれていただけというのが良い感じ。同じ世界遺産でもお守りをいくらでも売りつけようとする日光とはエライ違いである)
昔、ココで子供を産んだという。
聖地でさえ、B29の爆撃で出来た穴が池になっており、いもりやおたまじゃくしが泳いでいる。
沖縄世界
観光地である。昔は、ガラの悪い作業服を着たおっさんが、ハブとマングースの戦いを売り物にしていたが、ご存知のとおり、動物愛護団体の糾弾により、今は、マングースと海蛇の水泳競争となっているのである。必死に泳ぐマングースがコミカルで哀愁ばっちりなのである。ちなみに、ハブに毎年十数人がかまれているが、インドから連れてきたマングースも一向にハブを捕らえている野生での光景は見当たらず、人間にとっての益虫や農作物を荒らすので、いまやマングースも駆除の対象であったりするのであった。とにかく、沖縄サミットにより、随分、観光地は整備されて、以前の毒々しさはなくなったのであった。
玉泉洞
愛媛大学探検部が発見したこの洞窟も、観光のため、更に観光道を延長され800メートルになり、歩きやすいように何万年もかけてできた鍾乳洞をポキポキと折って道を歩きやすく整備されているのである。坑道に入っていく入り口は、牧志公設市場の臭いがするのであった。昔、何度となくヘッドランプにヘルメットをかぶりつなぎを着て洞窟に潜った記憶が甦ってきた、ということもなく、秋芳洞のようにバラエティに富んでいるということもなかったのであった。しかし、涼しいことはいいことだ。
旧海軍指令部壕
もう飛行機の時間が迫っているというのに、空港近くなので、急いで、15分で見学。全力疾走で見学。他の見学者を抜かしまくり、1位でゴールイン。
すぐ近くの湖に行く時間がなくなり残念。近くのおばあちゃんの話によると「昔はきれいだったけど、今は汚くなったねえ」とのこと