いとしのエリー
『いとしのエリー』高校教師エリーが交通事故でうしなった記憶をとりもどし、教え子である恋人晋平の卒業式に花嫁衣裳を着せられるというエンディング。高村光太郎の妻智恵子も、精神病により、晩年、光太郎は苦労をする。それは光太郎にとって「苦労」であったか。精神病や記憶喪失というのは、みぢかにもある。光太郎にとっては「苦労」ではなかったのではないか。おなじような事例を共有する人に、わたしはそう考えをいったことがある。しかし、やはりはた目にはたいへんな苦労であったとうつるであろう。エリーも、記憶喪失中、同僚教師と関係し婚約までする。光太郎に、そういう男女関係がらみのなやみまであったとは聞かないが、晋平の苦しみは相当ではあった。記憶喪失も、夜寝て朝起きたらそうなっていたということがある。マンガのなかのエリーには、ずいぶん不自然なところもあるが、「事実は小説より奇なり」とはマンガにもあてはまる。事実については、くちをつぐみたい。