テーマ:社交ダンス(8651)
カテゴリ:映画のはなし
第85回アカデミー賞で11部門ノミネートし、監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞の最多4部門を受賞した作品です。
トラと漂流なんて、よく食べられなかったなって思いますよね。 一人で7ヶ月漂流だってありえない気がする。 幸いこれは実話じゃないみたいで、ヤン・マーテルの2001年の小説『パイの物語』を原作としたファンタジー映画でした。 しかし最後まで見ると、それが単にファンタジーではないことに気付きます。 見る前はトラと人間一人でセリフもないだろうしどんなドラマがあるんだろうと半ば懐疑的だったんですが、海は無限のドラマを含んでいるんですね。 銀の羽を輝かせて飛ぶトビウオの群れ。 空と海の境界が分からない凪の海の夕焼け。 満天の星空。 青白く光るクラゲの大群、そしてそこから飛び上がる巨大なクジラ。 ナショナルジオグラフィックスチャンネルを見ているようなリアルで幻想的な映像美に魅了されました。 物語りはカナダ人の作家が小説になるような面白いネタを探してパイの元を訪れたことから始まります。 主人公のパイはもともとピシンという名前でした。 フランスの有名なプールかなにかの施設名らしいんですが、英語でピシンは『おしっこ』という意味なので学校でからかわれるんですね。 そこで彼は自分を円周率にちなんだπ『パイ』というニックネームで呼ばせるために作戦を講じます。円周率を何百ケタも暗記したり。 彼は頭がいいし努力家です。 もう一つ紹介されていた逸話として、彼は3つの宗教、ヒンズー教、キリスト教、イスラム教を合わせて信仰していました。 これは彼の適応能力の象徴なのか、ベジタリアンを強調したいのか、親から見ても変わった子供だったようです。 パイの家族はインドで動物園を経営していたんですが、パイが16歳のとき経営上の理由でカナダに移り住むことになりました。 動物共々貨物船でお引っ越し。 しかしその船が難破してそこから彼の漂流生活が始まるんですね。 パイの他に救命ボートに乗り込んでいたのは、怪我をしたシマウマとオラウータンとハイエナ、そしてベンガルトラでした。 漂流中のいろいろ話は見てのお楽しみ。 彼が最終的に助かったあと保険会社の調査員が訪ねて来るので一部始終を話すんですが、あまりにも奇想天外な話しなので信じてもらえません。 そこで彼は、もう一つの話しをするんです。どちらでも信じたい方を信じて下さいということで。 救命ボートに乗り込んでいたのは船員と自分の母親とコックとそして自分だったと。 この映画って映し方によってはホラーになったかもしれないとゾッとしましたね。 カナダ人作家もそのことに気付きました。 助かったあと、森へ消えて行ったトラはパイ自身だったのか? 彼のうちに秘めた野蛮性をトラに置き換えていたのかもしれないです。 長い漂流生活の異常事態の中で彼の心が折れずに保たれたのは、どんな宗教のおかげでもなく、自分の中にある本能の投影との共生だったんですね。 そう考えてくると、あらゆる出来事がすべて寓意に思えて来ます。 まるでブリューゲルの絵のように。 これは原作も読んでみたい作品です。 『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(原題:Life of Pi)は、、2012年のアメリカ映画。アン・リー監督の3D作品です。 私は2Dで家のテレビで見ましたが、十分に楽しめました。 もう一つ、これはあとで公式サイト見て知ったんですがトラには名前があるんです。 リチャード・パーカーといいます。 『誰それ?なんでフルネーム?』って思いますよね。 ものすごく意味深な名前なんですよ。 ご興味ある方は下のリンクから公式サイトの『SINCHRONICITY』をご覧ください。 公式サイトはこちらです。 ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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