テーマ:社交ダンス(8651)
カテゴリ:アートのはなし
<ベラスケス>
プラド美術館の看板画家と言ったらベラスケス。 ゴヤ、エル・グレコと並んでスペインの三大画家の一人に上げられ、17世紀に活躍した世界的な巨匠です。 プラド美術館の正面に像が建っていて、初めて訪れた時に10分しか見られなかった悔しさに再び来ることを硬く誓った思い出があります。 現存する約120点の作品のうちの50点がプラド美術館に収蔵されていて、そのほとんどは宮廷画家としてフェリペ4世に仕えた約30年間に描かれたものです。 最も有名なのはこの作品でしょう。教科書にも載ってました。 『ラス・メニーナス』1656年 ラス・メニーナスとは女官達という意味ですが、この絵の主人公はどう見ても中央に立つ王女マルガリータ。 王女の両脇にタイトルとなっている女官達、左がマリア右がイザベル、左には絵筆を持つ画家ベラスケス、奥の鏡に映っているのが国王夫妻と言われています。 つまり私達はこの絵を国王夫妻の目線で見ていることになるんですね。 空間に対する人物配置の上手さや、ちゃっかり自分も登場するあたり、匠の技を感じますね。 プラド美術館で買ったガイドブックの表紙もこの絵になっています。 王の離宮を飾るために描かれた作品の一つがこれ。 『槍(ブレダ開城)』1634-1655年 1625年にオランダの要塞ブレダをスペイン軍が陥落したときの絵です。 右がスペイン軍,左がオランダ軍とのことですが、これは解説本読むまで画家の意図するところは分かりませんでした。 通常勝者は馬上から跪く敗者を見下ろすような形で描かれることが多いらしいんです。 この絵は勝者が敗者と同じ地面に立ち、肩に手までかけて敗者の健闘をねぎらっているかのようで、スペイン騎士道精神を表したものとのこと。 林立する槍はスペイン軍の軍事力と統率を示唆し、背景に立ち上る煙で臨場感を与えています。 ベラスケスの想像力と構想の巧みさがここでも現れていますね。 ベラスケスは2度イタリアに留学していますがそれ以外はずっと宮廷にいましたので、フィリペ4世と家族の絵はたくさんあるんです。 『フェリペ4世の胸像』1653年頃 随分顔の長い王様なので、はじめはベラスケスが上下に長く引き延ばしたような技法使いなのかなんて思ってた時期もありましたが、側に使える道化や神話の絵などを見ると普通なので、この王様は本当にこういう顔だったんだと改めて思いました。 特に素晴らしいなと思うのは材質の描写ですね。 質感や重みを感じられるほどのリアルさで描かれているんです。 『オリバーレス公伯爵ガスパール・デ・グスマーン』1635年 そしてはっと息を飲むほどの荘厳さに打たれたのはこの作品。 『キリストの磔刑』1631-1632年 この時代にしては宗教画の少ないベラスケスを信仰の欠如とする説があるそうなんですが、この作品を見ると信仰がない人には描けない美が現れていると私には思えますね。 ディエゴ・ベラスケスは1599年にセビリアで生まれ、1623年から宮廷画家としてマドリードでフェリペ4世に仕えました。 1660年8月6日、61歳で亡くなったそうです。 ルーベンスとも親交があったと伝えられています。 <こちらも合わせてご覧下さい> プラド美術館の思い出(1) プラド美術館の思い出(2) プラド美術館の思い出(3) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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