カテゴリ:読書
手軽な文庫本の浮世絵ガイドブック。先日、近くの古書店で105 円で購入したが、現在は絶版らしい。浮世絵鑑賞に出かける時、 持ち運ぶのにちょうどよい。 あとがきを読んで驚いたことなのだが、この本のハードカバー 版が浮世絵研究者としての高橋克彦の30歳のデビュー作だっ たのだ。写楽殺人事件で小説家としてデビューする6年前の作 品。4千部印刷して10年間で売れたのは2千部とのこと。その 作品が文庫版になるにあたっての、高橋の喜びようが手にとる ように感じられる。 解説は、杉浦日向子。彼女はハードカバー版を所有していたと いう因縁。彼女が江戸にどっぷりとはまったのは、江戸人の「人 間一生糞袋」というタンカに傾倒したためだそうだ。富も出世 も望まず、難しいことも考えず、ただ生きる。食べて糞して寝 て起きて、死ぬまで生きる。そんな生き方ができれば、現代に 生きる我々ももっと楽になれる。彼女は、こんな風に生きたの であろうか。 さて、この本を読んでまたいろいろなことを学んだ。司馬江漢 や、山東京伝が浮世絵師だったことなどはじめて知った。高橋 は清長の「藤下を急ぐ女」や、豊国の「市川高麗蔵の佐々木巌流」 などを諸手をあげ、問答無用で絶賛している。これは、ぜひと も実物を見たいものだと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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