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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2007年08月26日
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カテゴリ:読書



「深淵を覗き込む時、その深淵もこちらを見つめているのだ」

サイコキラー、プロフェッショナルのスナイパー、組織に縛ら
れながらも自分の信念を貫こうとする社会派刑事の三者が入り
乱れて、繰り広げられるハードボイルド・ミステリ。

決してよくあるサスペンスドラマのような陳腐な物語ではない。
高村薫とまではいかないが、その重厚な味わいも素晴らしかっ
た。サイコサスペンス+警察小説+犯罪小説のそれぞれの要素
がしっかり詰っていて、これは、手を広げすぎかなと思わせる
のだが、最後にしっかりとまとめているのにはびっくり。

冒頭のニーチェの言葉が作中に何回か引用されているのだが、
欲を言えば、もっと登場人物たちの「深淵」の闇の深さを描き
こんでくれれば、より深い物語になったと思うところである。

2段組600ページ近くあり、読み応え充分。読書中は他の仕
事に手がつかなくて困ってしまった。3000円は惜しくなかった。
「幻の女」は10年以上前に読んだのだが、もう一度、加納作
品を読み返したい。






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最終更新日  2007年08月26日 19時46分46秒
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