カテゴリ:読書
「深淵を覗き込む時、その深淵もこちらを見つめているのだ」 サイコキラー、プロフェッショナルのスナイパー、組織に縛ら れながらも自分の信念を貫こうとする社会派刑事の三者が入り 乱れて、繰り広げられるハードボイルド・ミステリ。 決してよくあるサスペンスドラマのような陳腐な物語ではない。 高村薫とまではいかないが、その重厚な味わいも素晴らしかっ た。サイコサスペンス+警察小説+犯罪小説のそれぞれの要素 がしっかり詰っていて、これは、手を広げすぎかなと思わせる のだが、最後にしっかりとまとめているのにはびっくり。 冒頭のニーチェの言葉が作中に何回か引用されているのだが、 欲を言えば、もっと登場人物たちの「深淵」の闇の深さを描き こんでくれれば、より深い物語になったと思うところである。 2段組600ページ近くあり、読み応え充分。読書中は他の仕 事に手がつかなくて困ってしまった。3000円は惜しくなかった。 「幻の女」は10年以上前に読んだのだが、もう一度、加納作 品を読み返したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年08月26日 19時46分46秒
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