カテゴリ:読書
1Q84 book 1(4月ー6月) 1Q84 book 2(7月ー9月) ミステリーファンとしては、常にどこかに伏線があり、 大どんでん返しがあるのではないかと、一字一句、細密に 読んでしまったのだが、やはり騙された。この物語には、 そもそも大どんでん返しなど無かったのだ。だからカタル シスを感じる間もなく物語は終わる。 ファンタジーかと思いきや、カルトやDVや不毛なセックス など、現代社会の病根もリアルに描かれ、かなりショックを 受ける場面も多々あった。 無論、青豆と天吾の恋愛小説ととらえれば、二人の結ばれ ることのない純愛には泣けるし、ラストの天吾の切ない 思いに「希望」を感じることができる。 そもそも二つの月のある1Q84年とは何なのか? リトルピープルとは何者か? 小松やあゆみや年上のガールフレンド、牛河などの脇役の 役割は何だったのか? 天吾の両親はいったい誰なのか? ヒロイン青豆の顔はどうして崩れてしまうのか? 等々、疑問点が残り、未消化な部分は多いのだが、それでも、 物語全体を覆う、村上春樹独特の「膜」のようなものに、 快感を覚えながら、読み進めることができた。 長いことこの快感に浸っていたかったので、1日に青豆と 天吾の話をひとつずつとのんびり読んだのだが、ついに 読了してしまい、喪失感を感じている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|