自分の家族が加害者になるか被害者になるかを選べと言われたら
現在公開中の映画『望み』堤真一さんと石田ゆり子さん主演の映画で究極の家族愛を描いた物語。愛する息子が突然失踪し殺人犯か被害者かわからない中でマスコミに追われ、世間からのバッシングに翻弄されながらも家族の在り方を模索していく。同じ思いやりはあるのに生じてしまう”信じる”方向性のずれ、生活がどう転んでいくかの不安、息子の身を案じる親心。犯罪者の家族の心の寄り添った作品!「自分がもしその立場だったら」そんな想像をしながら物語に入り込んでいくと気が付いた頃には涙が止まらない。グッと来た点① お父さんである一登が息子に向かって小言を言った後の話。熱心に取り組んでいたサッカーをケガで辞めなくてはならなくなってからモラトリアム人間のようになっていた息子を見かねてお父さんが注意をするのだけど、愛想のない息子には全く響いてない様子だった。 しかし!後になってわかる!実はその時確かにその場での反応は薄かったが、息子の心にはちゃんと刺さっていた。やりたいことを見つけ、スポーツリハビリテーションに携わるために勉強を始めていたのだ。 ここがマキリナのグッとくるポイント!!お父さんのこと、煙たがっていたように見えてなんだかんだ信頼しているその素直じゃない可愛さ('ω')お父さんもそのことを知ったときに、それまでの葛藤(ネタバレになっちゃうから詳しくは映画化小説で)もあって息子が何を考えているかわからないと迷走していたけど、やっぱり息子は私の知っている心の優しい人間だと再認識できた。絡まっていた糸がスーッと溶けていくような感覚があったなあ。グッと来た点②お母さんである貴代美が息子の失踪に加えて事件の加害者かもしれないことを知り、憔悴しきっていたときの話。体が強くない実母がわざわざ様子を見に来てくれて、ずっとほしかった言葉をもらった。貴代美の夫である一登は理屈っぽい性格だから不安なことがあるときに根拠なく「きっと大丈夫、俺が守るから」と心を軽くするような言葉はくれなかった。それで覚悟が決まり切らない貴代美だったが実母の丸ごと受け入れてくれるそのスタンスに安心したの。でもそれって、実の娘が不幸になることを認めるってことだから簡単そうに見えてすっごく難しいことだと思うの。娘には幸せになってほしいと願うのが親の望みだからそれをふまえても現実を受け入れようとする手助けをしてくれる母の愛。偉大過ぎる...。もちろん泣きました。映画は見ずに小説で読んだので映画がどうかはわからないけれど人の心に訴えかける物語で人を信じることの危うさを問いかける素敵なメッセージ性のある内容でした!この作品をお勧めしたいのは、反抗期の子を持つ親と反抗期あがりの大学生です。きっともっと大事に接しようと思う気がします。