ファーウェイに見る異色の会社経営~『不道徳な経済学』からの抜粋~
世間はコロナウイルスによる自粛要請がいつまで続くのかにやきもきしている中、中小企業や大企業も山積みの課題と向き合っている最中だろう。そんな中で固定概念をぶっ壊してくるような独自の経営方針を持つファーウェイが私個人の中で再ブームとなっている('ω')(なんで今?という声が聞こえてくる気が…)世界を牛耳っているアメリカが輸入関税をかけて成長を止めようとするくらい、勢いが凄いファーウェイ。しょっちゅう報道に上がっていた頃、なんとなくトランプさんがいじめてるな~としか思わなかった(笑)それほど世界にその名を知らしめた中国の企業など過去にほとんどなかったことなど頭からぽーーんと抜けていた。今回はKyu Kaito著書の『中国でいま何が起きているのか』をもとにし、たまにウォルター・ブロック著書橘玲訳の『不道徳な経済学』も散りばめて今回の記事とするヨ。(この2冊はかなりお勧めのビジネス書だよ)早速本題に入るが、中国企業ファーウェイがICチップの製造以外で西側先進国の同業者と肩を並べるほどの世界的な通信機器メーカーに成長できた理由は中国ならではのいくつかの特殊事情がある。1987年に深圳市で設立したファーウェイの成長にその設立地が大きな影響を与えた。改革開放初期の1980年、中央政府は深圳に対して香港資本をはじめとする「外資」を誘致しやすくするために経済特区に指定し、特別立法権を与えた。これは快挙!!上にいちいち報告しなくとも多くの決定を行えるようになりひとつの大きな”権力”が深圳市政府にわたった。共産主義である中央政府がこのような力の分散を行ったのは色んな狙いや目的があったであろうが、双方のリスクを考えてもこの決断は大きなプラスの変化をもたらした。深圳市の投資環境は企業経営にかなり寛容で、資金の貸し付けも活発だった。(驚くことに行政の干渉がいっさいないらしい)詳しい支援についてはこちらから確認を!中国で国有企業が占める割合は45%だが、1990年代中頃までは7割以上が国有企業だった。(国のトップ権限ありすぎて笑う)しかし、深圳には国有企業がほとんどといってもいいほど存在しない。大体民間企業。(世界的に見てもハイテク企業は民間からしか生まれない)よく言われているが、ファーウェイの経営方針はかなり独特。例えば、CEOが3人いて半年ごとにバトンタッチをしていること。CEOが3人いるのも驚きだが、それぞれの期間がわずか6か月しかないなんてクレイジーにもほどがある。その期間を決めることで競争心や切迫した時間感覚が身につくのかもしれないね!他にも、例を挙げるとたくさん!①社員に博士が1万人いる。ロシア人数学者も多数いる。②年収1千万の社員が1万人いる。毎年の技術開発費は896億元。③ファーウェイ・ジャパンの新卒の初任給が約40万円。④「インターネット三覇者」と中国で言われているアリババ、テンセント、バイドゥの総社員数が11万2000人なのに対し、ファーウェイの社員数は19万人に上る。⑤営業利益はアリババが約570億元(2019年3月時点)、テンセントが約976億元(2018年12月時点)、バイドゥが約155億元(2018年12月時点)だが、3社とも外資系企業なのでその70%は海外の資本家に還元されてしまう。一方でファーウェイは100%中国の民間企業で株式上場もしていないため、2000年から今日まで海外から7000億元以上の利益を獲得!!⑥人件費も技術開発費も多く投入しているにもかかわらず、ファーウェイの通信設備はどの国の製品よりも安く、輸出も多い。このようにファーウェイは非上場で民間企業ならではの攻めた経営戦略で今日までの業績をあげ、名を残す大企業となった。ほかにもドローン事業で実質市場の独占状態になっているDJIなども深圳発である。深圳という場所が今後どういう価値をもつのか。そこには期待も不安もあるが、きっとこの先の世界経済に小さくない影響を与えるくらいの存在感を持つのは確実に言えるだろう。中国という国はとても人間らしさが全面に出ていて愛らしい国だと私は思う。脆弱さや矛盾などとともに圧倒的なエネルギーや熱意が多くの中国人からなんとなくうかがえる。ハングリーなところ、現状に満足せずにもっと上を目指すところ、見栄っ張りなところ。そんな人間らしさが垣間見える国民性を日本のクォーターである私はとても愛らしく感じる。(その是非については回答を控える)