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カテゴリ:実践!企業価値評価
1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析 ~東芝~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■注目した記事(5/14 1面) 薄型TV 海外生産を集約 外部委託を拡大 東芝 英で打ち切り ■記事への素朴な疑問 液晶テレビ市場では低価格競争がさらに加速するため、 外部委託を活用してコスト競争力を高めるようです。 液晶テレビ事業での売上、営業利益率が気になりますね。 まずは従来の流れ・各視点で全体的な経営状況を見た後に、 事業セグメント別の状況を確認します。 以下では、08年度まで直近5年間の当社の財務状況を基に分析します。 東芝の株価を見る前に~決算・財務分析はこちら 東芝の決算・財務分析 ■P/Lの視点 過去3年平均の伸び率は、以下の通りです。 ●売上 9.4% (08年は7.7兆円) ●営業利益 19.8% (08年は2600億円) ●純利益 27.7% (08年は1300億円) 順調に増収増益となっています。 ただし、08年には営業利益が前期比-14.4%、 純利益-7.3%と減益となりました。 有報で要因をさっと確認すると、HD DVD事業終息や、 減価償却の制度変更に係る費用が影響したようです。 次に、実際のキャッシュの流れを見てみましょう。 ■C/Sの視点 それまでプラスだったFCFが、07年からマイナスになっています。 これは同年のウェスチングハウス買収(6000億規模)に係り、 投資CFが増大したためです。 また、資金調達のため財務CFもプラスに転じました。 08年は投資CFが例年に戻りマイナス3200億円でしたが、 支払債務の減少により営業CFが少なくなったため、 FCFマイナスとなりました。 キャッシュの流れが07年の買収に大きく影響され、 一時圧迫されているようですね。 それでは、B/Sを見てみましょう。 ■B/Sの視点 総資産が06年の4.7兆円から、07年は25%増の5.9兆円になりました。 08年はほぼ変化なしです。(40億円増加した程度) 06年からの変化としては、 やはり買収にかかる無形固定資産の増大(7500億円増)が大きいですが、 その他にも固定資産・運転資本と、全体的に増加しました。 調達面では、長期借入金や少数株主持分が5400億増加し、 株主資本比率は21%から19%に減少しました。 07年の買収インパクトはB/Sを見ても明らかですね。 08年は大きな変化がありませんが、 今後の借金返済が気になるところです。 ■まとめ 増収増益でしたが08年は利益が減少し(P/Lの視点)、 07年の買収でFCFマイナス・借入実施と キャッシュの流れが変わりました(C/Sの視点)。 同年から、のれんを中心に運用資産増、借入金増と、 総資産が拡大しました(B/Sの視点)。 無形固定資産回転率を除いて、経営効率には大きな変化がなく、 堅調に推移しているようです。 やはり、買収後のCF改善がどのように出てくるかを 見て行きたいところですね。 さて、最後に液晶TV事業の状況を見てみましょう。 ■セグメント別 売上・営業利益率の視点 (電子デバイス事業) 07年 1.66兆円、7.22%(04年~07年は7%以上を維持) 08年 1.74兆円、4.26% 売上は4.8%増加しましたが、利益率は40%減少しています。 有報でも、やはり価格下落の影響が言及されていました。 ディスプレイサーチの市場予想では、 12年には世界市場が77%増加する一方、 平均価格は43%減少するとされおり、 確かに低コストが競争の焦点になってきそうです。 液晶シェア6位の東芝は水平分業(パネル調達、組み立ても外部)の 戦略シフトを強化、プラズマシェア1位のパナソニックは 垂直統合(パネル生産、組み立て)と、 今後ますます各社の違いが明確になって行きそうですね。 東芝の株価を見る前に~決算・財務分析はこちら 東芝の決算・財務分析 以上の分析でご不明な点等ございましたら、 是非シェアーズまでご連絡ください。 感想もお待ちしております! support@shares.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月29日 15時52分16秒
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