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カテゴリ:経済・ビジネス・投資
エコノミストと称する人たちの言説のあまりの多様さに戸惑い、経済学の専門性に疑問を持つ人は多いだろう。本書はエコノミストの論説を丹念にたどって、比較・検討・紹介している。バブル・日米比較・財政出動・金融政策・構造改革・IT革命・不良債権処理・インフレターゲットをテーマとして選んでいる。巻末にエコノミストの採点表・エコノミスト格付表がある。
私が思うに、日本のエコノミストの論説の多様さは次の理由に基づく: 1.経済学で博士号を持っていなくても論壇でエコノミストとして活躍できる。 2.マルクス経済学が大学の講座を多く確保している。 3.固定相場制時代に経済学を学んだため、変動相場制対応の理論を理解していないエコノミストがかなり存在する。 4.エコノミスト同士批判し合うことが米国に比べて少なかった(最近は風潮が変わり、池田信夫をはじめとして遠慮のない批判をしている)。 従って、各エコノミストについて博士号を持っているか、マルクス経済学の講座出身か、マンデル・フレミング理論を理解しているかを尺度にした方が切れ味の良い採点が出来たと思う。ところが著者は一貫性や発表の多さなど表面的な基準に基づいて採点しているため、小宮隆太郎が76点で金子勝が69点というメリハリのきかない結果となっており、「誰を読めば良いのか」という目的には役立たない。しかし採点表のところにコンパクトに各エコノミストの論調を紹介してあり、これはエコノミストの鳥瞰図として有用である。 【楽天ブックス】エコノミストは信用できるか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 27, 2005 08:51:00 PM
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