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カテゴリ:政治・政策・世相・犯罪・歴史
本書は保守主義の論客である著者のあるべきと考える憲法改正を論じたものです。この保守主義とは、デモクラシー(民衆参加の政治制度)の危険性の認識し、伝統をその歯止めとして考えることのようです。デモクラシーはアナーキーな衆愚政治に転落しやすく、専制もしくは全体主義へと反転しやすい危険性をはらんでいると著者は考えています。
概要を紹介します: 第1部は正統の日本国憲法として中川氏の案が示されていて、日本の伝統を尊重した内容となっています。 第2部は国民の憲法の絶対3条件として、皇室・国防軍・家族を論じています。 特に天皇家の継続性のため「宮家」の復活を提案しています。 吉田茂が憲法第9条を維持して国防軍の債権を回避し、警察と軍隊の中間的な実力組織である現在の自衛隊に止めようとした理由は、旧陸軍の軍人に数多くの共産主義者がいたからとしています。 国防については、日本は南下するロシア・東進する中共の脅威を認識すべきと訴えています。日本は1945年8月の満州の悲劇を忘れてはならないと書いています。 155万人の在満の一般邦人に対し、ロシアは国際法もポツダム宣言もすべて無視して殺戮とレイプと強盗を繰り返し、主に婦女子13万人は日本の故国の土を踏むことはできませんでした。またシベリアに強制連行された105万人の関東軍の将兵・一般男児のうち帰還できたのは52万人ですから、差し引いた53万人が酷寒の中で餓死・凍死・病死したことになり、これは原爆被害の5倍以上になるとのことです。 また戦後の民法は日本の「家」制度を徹底的に破壊したので好ましくないと述べています。 第3部は国家簒奪・大量殺戮の思想を排除するというタイトルで、日本国憲法に内在するフランス革命の教理を改めることを説いています。それは国民主権・人権・平等・政教分離の思想です。特に政教分離については1989年2月24日の御大喪について葬場殿の儀を皇室の儀式と国事に分離したことを批判しています。 第4部は亡国にいたる三つの憲法改悪として読売新聞の改憲案を批判しています。「三つ」とは一院制、首相公選、地方分権です。中曽根康弘元首相の政治姿勢に疑問を呈し実は左翼ではないかと推測しています。 フランスの上院である元老院、特にその選出方法は、日本の参議院改革にとって貴重な参考例であるとしています。それは第1は選挙団による間接選挙であり、一般有権者の投票を排除していること。第二は地方が主としてこの上院議員を選出し、都市選出の上院議員を確実に少数となるよう工夫され、旧貴族階級から選出しようと意図しているとのことです。 首相公選制についてはアナーキーな衆愚政治に転落しやすいので否定し、議院内閣制を死守すべきとしています。 (福禄太郎の私見) 現在議論されている憲法改正論議では天皇制の維持が世論の大勢を占めています。そのためには、「宮家」を復活したほうが天皇の後継問題について安定感のある運営ができ、今のように雅子様にプレッシャーを感じされることも少ないと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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